安全保障分野の協力体制構築に向けて日韓関係改善の努力を!
[Photo]Getty Images

先週は日中関係について論じたが、今週は日韓関係である。安倍首相は、所信表明演説でも、中国や韓国との関係については触れなかった。それだけ改善が難しい課題だということであろう。

安倍首相を支持する保守層は、是非とも総理に靖国神社に参拝してもらいたいと思っている。しかし、現在のアジア情勢や日本の外交戦略を考慮に入れると、政治的には真榊奉納までが限度であろう。

いったん内閣総理大臣に就任すれば、野党時代に声高らかに唱えていた主張を枉げなければならないこともある。フランス第4共和制時代の政治家、ピエール・マンデス=フランスが述べたように、「統治するとは、選択すること」であるからだ。

私も厚生労働大臣時代には、靖国に参拝しなかった。中国と毒入り餃子輸入事件でもめたり、日中韓三国で共同して新型インフルエンザと戦う体制を組んだりと、喫緊の政策課題を前にすれば、人命が関わる案件の処理が優先されるのは当然である。

安全保障上の配慮こそ最優先であるべき

韓国の朴槿恵大統領は、「千年の恨み」を持ち出すなど、日本への厳しい姿勢を示し、中国やアメリカとの首脳会談でも、日本の歴史認識の誤りについて言及した。しかし、これに対して、日本があまりにも過剰に反応するのはいかがなものか。そもそも韓国人の基底感情は、「恨」であり、またいつもの歌が始まったかと軽く受け流す流儀も有効かもしれない。

マスメディアにとっては、韓国では「反日」、日本では「嫌韓」をうたうのが商売になる。韓国にしても日本にしても、多くの国民は、さほど反日、嫌韓ではないが、メディア、とくに韓国のマスコミがひどい。親日路線は徹底的に弾劾される。

朴槿恵大統領の父は、朴正煕元大統領である。大日本帝国の軍人であり、戦後の経済成長を実現した朴正煕氏は、プラグマティストで国民国家の何たるかを理解していたナショナリストであり、私は高く評価している。しかし、このプラグマティストは、古い儒教道徳が根強く残っている韓国では、いわば例外であり、それだけに親日の代表格だと見られている。

朴槿恵大統領にとっては、父親と同一視されることは政治的に致命的であり、人一倍反日の姿勢を見せざるをえない。その点は、日本側もよく理解する必要がある。しかも、65歳以上の高齢者に月額20万ウォン(約1万8千円)の年金を支給すると公約しながら、それを果たせていないし、その他の社会保障政策や大学授業料の半額化などの約束も、財源不足から守られていない。そのために大統領の支持率は下がっており、求心力を増すために「反日カード」を使いたくなるといったところが今の状況である。

しかし、北朝鮮の軍事的脅威を前にして、日米韓で協力することが不可欠であり、安全保障上の配慮こそ、最優先であるべきだ。中国の軍事的膨張主義を脅威に感じている点では、日本も韓国も同じであるし、中国漁船によって自国の漁業資源が狙われている点でも、日韓は共通している。安全保障の分野で日米韓の協力体制を構築するためにこそ、日本で集団的自衛権の行使を可能にしようとしているのである。ところが、韓国マスコミでは、「右傾化」というステレオタイプの対応しか出てこない。

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