ねじれ解消後の今国会は与党内の「産業政策」派vs.「規制緩和」派を反映する産業競争力強化法案と国家戦略特区法案の行方に注目せよ

アベノミクスの第三の矢はどうなるだろうか。今国会に提出された法案をみると、その将来が占える。

アベノミクスのうち、第一、第二の矢である金融政策、財政政策の効果がでるのは1~2年程度だ。具体的には、財政政策は1年以内、金融政策は2年程度だ。財政政策は、今年1月に決まった10兆円補正があるので、すでに効果は出ている。金融政策が本格的に実施されだしたのは今年の4月。その期待感で徐々に効果がでているが、その実力が十分に発揮されるのは2015年度からだろう。

2014年度からの消費税増税が決まったが、その悪影響は2014年度のうちに確実にでる。そこで、筆者は、消費税増税の悪影響を中和するために、20兆円規模の補正予算を主張している(9月23日付け本コラム)。2014年度は金融政策の本格的な効果はまだだし、今から追加金融緩和をしても間に合わないからだ(もちろん金融緩和はすべきだ)。

官僚がつくる「産業政策」は失敗の連続

これらの財政政策、金融政策が比較的短期な効果があるのに対して、第三の矢の成長戦略の効果がでるのは、もしうまくいっても5年くらいかかる。少なくとも、第三の矢では、必要な法律は準備して成立させるまでに少なくとも2年間はかかり、その効果はその後3年くらいかかるからだ。だからといって第三の矢が不要ということではなく、それでもやらなければいけないものだ。

実は、筆者が小泉政権にいたときには、成長戦略を作らずに規制緩和だけを行った。成長戦略というと、経産省官僚は、経済理論として正当化できない「産業ターゲティング・ポリシー」(産業政策)や無駄遣いの温床となり得る「官民ファンド」ばかりを官邸に持ち込んでくる。

そもそも産業ターゲティング・ポリシー、産業政策なんて、英語では説明不可能な概念だ。先進国の外国人に話しても、「ビジネス経験のない官僚になぜ成長戦略がわかるのか、わかるはずない」との一言で片付けられるのが関の山だ。それにくらべて、「規制緩和」は世界どこでも通じる概念だ。
 

筆者の財務省時代の経験でも、産業ターゲティング・ポリシー(産業政策)の失敗をみてきた。まず、1985年に設立された基盤技術研究促進センター。2800億円の出資はわずか8億円くらいしか回収されず、国民のカネは海の藻屑となってしまった。第五世代コンピュータやシグマプロジェクトも壮大な無駄使いだった。自分のカネで投資を行わない役所は、投資の結果に無責任なのでほとんどが失敗する。

この意味から、第三の矢は「規制緩和」にすべきだ。もっとも、今の政権では、相変わらず「産業政策」が好きな人が多いようだ。

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