【独占インタビュー】ノーベル経済学賞受賞ポール・クルーグマン 日本経済は、そのときどうなるのか

2013年10月21日(月) 週刊現代

週刊現代経済の死角

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成長戦略については、法人税の引き下げが言及されましたが、米国など他の先進国の例を見ると、法人税引き下げとGDP成長率にはあまり関係がないように思います。また、TPPについては、私自身、頑強に反対する立場ではないことは述べておきたい。

増税は正しいのか

他の成長戦略としては、女性の才能をもっと活用すべき。女性というだけで重要な仕事が任されないのは人的資源の浪費と言えます。また、土地利用や小売業の規制を緩和すればさらに大きな投資が生まれ、内需を大きく拡大させられるでしょう。労働力人口が減少している日本では、定年制度のないアメリカのように、働ける能力があるうちは働ける社会にするのも有効です。

最後にひとつだけ苦言を呈するのであれば、今回8%への消費増税を決定したことにはがっかりしました。もし私が安倍首相から相談されていたら、「もう少し待て」と言ったでしょうね。

'97年に消費税を3%から5%に引き上げた際、景気が後退したことはみなさん知っているでしょう。本来なら、デフレを完全に脱却してからやったほうが安全です。いま、ちょうど光が見えかけていたのに、増税によって消費が落ち込む可能性がある。消費税が上がっても消費を落ち込ませないためには賃金アップが必要ですが、景気が良くなってもそれが賃金に反映されるのは最後の段階ですから。

急速に少子高齢化が進んでいる日本では、今後さらに所得税よりも消費税のほうが重要になってくることは確かです。そうした状況を踏まえれば、たとえば一定年収以下の所得税を減らすことを提案したい。収入が一定以上ある世帯は、消費税が上がっても消費が極端に減ることはないので、消費が落ち込むこともないでしょう。

少子高齢化は日本の大きな問題点ですが、これを解決するには、フランスなどで採用されている出産奨励政策からヒントを得るべきではないでしょうか。フランスは、子どものいる女性に多くの補助金を与えることで、いまやヨーロッパで出生率がもっとも高い国の一つになっているのです。

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