【独占インタビュー】ノーベル経済学賞受賞ポール・クルーグマン 日本経済は、そのときどうなるのか

2013年10月21日(月) 週刊現代

週刊現代経済の死角

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これまで、「金融緩和で日本経済を回復することは不可能だ」という議論が繰り返されてきました。もちろん、金融緩和がすべての問題を解決するわけではないですが、一定の条件が満たされればインフレが起こり、望ましい状況がもたらされます。その条件とは、「国家の経済は将来的に落ち込まない」「中央銀行が実際に金融緩和を実現に移す」と人々が〝信じ〟、〝期待する〟ことです。

将来インフレが到来すると確信すれば、手元の資産は目減りが予測されるのでおカネを使う理由が生まれる。同時に、そのインフレによって日本の国家債務も減少し、国民負担も軽減されます。

それでも国民の信頼を充分に得られなかった場合に備えて必要となるのが、財政政策です。現実の雇用が生まれますから、人々の期待を変えずとも景気を拡張させる効果がある。

金融緩和によって円安のデメリットを指摘する人もいますが、私はそうは考えません。現実に、1ドル=75円から100円への為替変動によって、輸出企業の利益はすさまじい金額になりました。トヨタ自動車の今年3月期の通期決算は、同年前期比271・4%増の1兆3208億円です。

たしかに円安になると、輸入品をはじめとする商品価格が上昇し、消費者は打撃を受けるでしょう。ですが、他の国の例を分析しても、それが経済を縮小させるという結論は得られません。日本は純債権国であり、円相場が下落すれば、自国通貨建てで見た富の価値は増大する。円安が日本企業の競争力を強めていき、現在のまま円安が続くことは日本経済に良い影響であることは間違いない。日本は、他の国が経験したことのない未知の領域に踏み込もうとしているのです。

黒田日銀総裁が掲げる「今後2年間で2%のインフレ率」という目標が達成されたとき、日本にはさらに多くの可能性が広がるでしょう。

貨幣価値が下がった結果、円安はさらに進むはずです。個人消費は伸張し、住宅や商業施設などの建築への支出も増え、企業の設備投資も増加します。多くの日本人がマンションを買い、新築物件が増設され、一人当たりの住居スペースも広くなる。日本経済の内需は、将来に向けて拡大していくのです。

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