中国
報道機関から再び中国共産党の煽動機関へ!? 「習近平時代の掟」を体現する劉雲山のメディア改革
「メディア改革」を進めている劉雲山 [Photo] Getty Images

日本では国会で、秘密保全法案の審議が始まるが、中国では国会審議もなく、10月10日に突然、中国の全メディアを統括する国家新聞出版広電総局が、重要決定を行った。

それは、中国全土25万人の記者に対する通達で、大略以下のような内容だった。

1. 来年1月か2月に、全国の記者への統一試験を実施する
2.この試験に合格した者には、5年期限の「新聞記者証」を発行する
3.試験に先立ち、今月から12月にかけて、計18時間以上の記者研修を行う
4.主な研修内容は、①中国の特色ある社会主義の道、②マルクス主義教育観、③メディア関連の法律法規、④職業精神・職業道徳、⑤中央メディアと地方メディアの役割とする

2009年以降、中国メディアは進歩・発展してきた

中国には、日本には存在しないメディアを監督する国家新聞出版広電総局が存在する。総職員数508名の中央官庁だ。

この国家新聞出版広電総局が、すべての中国メディアを統括している。中国では全メディアが国有企業で、民間のメディア会社設立は禁止されている。これは、故・毛沢東主席が、「軍とメディアは党を支える両剣である」という持論を持っていたからだ。つまり、メディアは報道機関ではなく、中国共産党の煽動機関であるという認識だ。

1978年から鄧小平が改革開放政策を始めたが、メディアは除外した。2009年からようやくメディア改革も始まったが、それはメディアを民営化するのではなく、国有企業化するものだった。日本で言うなら、国立大学を私立大学にするのでなく、独立行政法人にするようなものだ。

この措置に合わせて、2009年2月25日、それまで新聞記者やテレビアナウンサーなど、個別に発行されていた証書を統一し、5年期限の「新聞記者証」として発行した。加えて、2009年10月15日には、「新聞記者証管理弁法」を施行した。

この「新聞記者証管理弁法」は、全40条からなるが、なかなか画期的な法文で、記者の権利を保護・保障している。例えば第5条では、「取材の自由」を謳っている。

『どんな組織も何人も、新聞機関及び新聞記者の合法的な取材活動を妨げてはならない』

ただし第14条と15条で、『人民解放軍と武装警察に対する取材だけは例外とする』としている。ということは、軍と武警(機動隊に相当)以外は、どんな機関だろうが、記者証を翳して取材行為を行ってよいということだ。これは社会主義国家にしては、かなり「報道の自由」を保障した法律と言える。実際、2009年以降、中国のメディアはずいぶんと進歩・発展したと思う。

当時の新聞出版総署長は、胡錦濤前主席の懐刀として活躍した柳賓傑だった。私は北京勤務時代に、柳署長に2度お目にかかったことがあるが、非常に開明的な人物だ。私が「あなたは新聞出版業界の鄧小平と呼ばれていますが、このニックネームをどう思いますか?」と水を向けると、笑顔でこう答えた。

「他の業界は、勝手に前へ前へどんどん進んでいくため、監督官庁が引き締めに走っている。ところが新聞出版業界だけは、業界の方が保守的で、私が改革開放をけしかけているのだ」

この続きは、プレミアム会員になるとご覧いただけます。
現代ビジネスプレミアム会員になれば、
過去の記事がすべて読み放題!
無料1ヶ月お試しキャンペーン実施中
すでに会員の方はこちら