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〔PHOTO〕gettyimages

小泉純一郎・元総理が、「脱原発」を発信し始めたことが話題になっている。

たとえば10月初旬に名古屋市内で講演した際は、「原発ゼロを実現し、循環型社会を目指すべきだ」と訴えた。小泉氏とみんなの党の渡辺喜美代表らが9月27日夜に都内で会食し、4時間近くも脱原発の話題で盛り上がったとも報じられている。完全オフレコの会食だったが、同席していた国会議員が思わずツイッターで漏らしたことで、その内容が発覚したようだ。

影響力が衰えていない元総理のこうした言動について、菅義偉官房長官は「言論の自由」と受け流しているが、内心は困っていることだろう。

小泉氏は71歳。総理在任中にはプルサーマル計画を推進するなど、原発推進の立場だったことを思えば、「180度の転換」である。

どうしてここまで大胆な転換をしたのかと言えば、小泉氏がしばしば講演で引用する憲政の神様・尾崎行雄の言葉「人生の本舞台は常に将来に在り」にたどり着く。つまりは、何歳になっても将来のために行動すべきという戒め。尾崎行雄は94歳になってもまだ将来のことを考えていると、小泉氏は首相時代の講演で何度も言っていた。

そういえば、小泉氏の慶応時代の恩師にあたる加藤寛先生も晩年に、脱原発を言い出した。加藤先生は今年1月に86歳で亡くなったが、福島第一原発事故以降、脱原発を強く主張していた。

小泉氏の次男である小泉進次郎氏が、今回内閣府兼復興政務官に起用されたが、進次郎氏は原発については語っていない。気の早い向きは、小泉親子で脱原発グループを一つの政治勢力にまとめ上げる構想をはやし立てている。だが、小泉氏にはそこまでの政界再編を仕掛ける気はないだろう。なにしろ、今の安倍晋三総理は自民党時代に同じ派閥(清和会)で可愛い弟子。自分の後継首相に安倍氏をいち早く推した。小泉氏はそんな安倍氏の復活を喜んでいるはずだ。

一方で、小泉氏と安倍氏の「違い」もある。小泉氏は財務省がやりたい消費税増税を任期中凍結したり、経産省のやりたかった産業政策を否定し、一切成長戦略を作らなかった。それに比べると、安倍氏は消費税増税に踏み切り、原発再稼働に意欲を燃やしている。

いま小泉氏の目には、安倍氏が財務省と経産省の言いなりになっているように見えるのかもしれない。そこで小泉流で、安倍氏を叱咤激励しているようにも思えてくるのだ。

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