毎日フォーラム~毎日新聞社

日米両政府、容疑者指紋の自動照会へ
協定に実質合意、来年の通常国会に関連法案提出[捜査協力]

2013年10月19日(土) 毎日フォーラム
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日米両政府は9月、それぞれの捜査当局が管理する容疑者の指紋データベースに相互にアクセスし、いつでも自動照会できるようにする協定を結ぶことで実質合意した。テロが疑われる人物の入国を阻止したり、重大犯罪の捜査に活用したりするのが狙いで、米側が早期締結を強く求めていた。ただ、指紋は個人情報の保護対象のため、米側に直接提供するには新たな法律が必要になる。政府は関連法案を来年の通常国会に提出し法整備を急ぐ方針だ。

米国では、2001年9月の米同時多発テロを受け、対テロ対策を強化する「9・11委員会勧告実施法」が07年8月に成立した。米政府はこの法律の趣旨を踏まえ、短期滞在者の査証(ビザ)を免除しているイギリスや日本、ドイツなど37の国・地域に対し、2国間の「重大な犯罪の防止及び対処に関する協定」(PCSC協定)を結ぶよう要請した。しかし、日本だけが合意に至っていなかった。

米国土安全保障省(DHS)と交渉してきた外務省は協定について、「自動照会により、重大な犯罪、特にテロ防止のための迅速な情報交換が可能になる」「ビザ免除措置を通じた両国民の円滑な渡航に資する」と二つの意義を強調する。まず、指紋の自動照会とはどのようなものなのか。

この仕組みは2段階で行われる。例えば、テロリストと疑われる日本人が米国に入国しようとした際や容疑者の身元が分からない場合、米連邦捜査局(FBI)やDHSは日本に指紋が存在するか警察庁のデータベースにアクセス(1次照会)する。ここでヒットすれば、指紋画像は自動的に米側に送られる。

次に、1次照会で該当者がいた場合に限り、米側はどのような捜査に必要なのかを明示したうえで、日本側に容疑者の氏名や性別、生年月日、過去の逮捕歴や判決結果などの情報を照会(2次照会)する。逆に日本の警察が米国人を逮捕した場合などは、警察庁が米側に照会することになる。

他国への指紋照会は現在も国際刑事警察機構(ICPO)を通じ、日米間では日米刑事共助条約に基づき行われている。しかし手続きが煩雑で、「回答までに数週間かかることもあり、起訴までに間に合わないケースもあった」(捜査関係者)という。警察庁幹部は「テロ捜査はスピードが必要。協定が実行されれば、かなりの武器になる」と期待する。

ただ、指紋は究極の個人情報だ。政府関係者は「米側との交渉では、プライバシーをどう保護するのかという点に最も腐心した」と振り返る。米側は、照会できる対象を「懲役1年を超える犯罪」とするよう主張。昨年6月末までに協定をまとめたい考えを示していたが、罪種を限定したい日本側との溝はなかなか埋まらなかったという。しかし、米連邦議会から早期締結を迫られたこともあり、米側が大幅に譲歩。結局、「懲役3年以上の犯罪」を原則とし、懲役1年以上の犯罪ついては、協定書の付属書に別途盛り込むことで折り合った。

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