ドイツ
今度はロシアの油田開発に横やりで海賊罪!? 無鉄砲な環境保護団体グリーンピースに対する私の複雑な感情

ロシアで、環境保護団体グリーンピースの活動家30人が拘束されている。9月19日、北極海で、ロシアの油田のプラットフォームを襲っているところを捕まったのだ。襲撃の模様は、ユーチューブで垣間見ることができる。

北極海の海底には、石油やらガスが眠っている。特にロシア沿岸は遠浅なので、彼らにとっては宝の海。今回の事件の現場になったのは、バレンツ海の片隅、ペチョラ海で、ロシアの巨大エネルギー会社、ガスプロムが油田の開発に力を注いできた場所だ。

ただ、ここは水深は浅いが、波が荒く、11月からは氷との戦いだ。難しい条件のために工事はなかなか捗らず、当てにしていた石油の採掘は、すでに何年もの遅れが生じていた。そして、ようやく来年の初めに完成という目途が立ち、現在、槌音高く頑張っていたところだったのに、グリーンピースが決定的な横やりを入れたわけだ。

ドイツで起きた抗議運動の様子〔PHOTO〕gettyimages

海賊行為ではないが国際法に違反している

世界の海でのグリーンピースの活動は、今に始まったことではない。70年代の捕鯨反対、80年代のアザラシ漁反対に表されるように、彼らの主張は常に、「海の自然を乱すな」。それが、現在の北極海での油田・ガス田の開発反対運動にもつながっている。抗議行動は多岐にわたり、持ち船Arctic Sunrise号で世界の海を走り回っている。

先月初めからは、北極海でロシア側との睨み合いが続いていたというが、ついに19日、彼らはロシアの警告を無視し、Arctic Sunrise号から数隻の高速ゴムボートを出し、油田プラットフォームに接近。さらに何人かの活動家がその垂直の壁を、ロッククライミングさながらによじ登った。しかし、もちろん、ロシア側がこれを放っておくわけはなかった。

ロシアの特殊部隊が放水を始めた。アラブのデモ隊に放水なら、それほど悲惨ではないが、北極海では見ているだけで冷たそうだ。案の定、あっという間に、武器を構えた特殊部隊の前で、全員がホールドアップとなった。そのあと、Arctic Sunrise号には、ヘリコプターからロープを下ろして特殊部隊が潜入。船は没収、中にいた活動家も拘束された。

Arctic Sunrise号は、グリーンピース側の主張では公海上に停泊していたということだが、ロシアの国境警備隊の話では、プラットフォームの周り500mの航行禁止水域に入り込んでいたという。どちらが本当かわからない。

いずれにしても、現在、20ヵ国出身の30人(うち2人はジャーナリスト、1人はロシア人カメラマン)が、ロシア当局の手中にあり、すでに全員が海賊行為という名目で起訴された。ひょっとすると、判決は懲役15年になる可能性もあるそうだ。

今、ロシアのこの措置に対して、各国で抗議活動が起こっている。ドイツでも、ベルリンのブランデンブルク門の前で、グリーンピースの活動家たちが、捕まっている30人の顔写真を掲げてデモをしている様子が報じられた。

彼らは、「ロシア当局の主張は見当違いで、根拠が無く、おまけに違法である」とし、EUの人権裁判所に訴える準備を進めている。そして、おかしなことに、ドイツではこのニュースが、やけに肯定的なトーンで流されている。まるでグリーンピースの行動が正当であり、しかも、皆がそう考えなくてはいけないというムードだ。

しかし、私が見る限り、彼らの行動は、どう考えても違法だった。ロシアのプーチン大統領も、「もちろん海賊行為ではないが、しかし、国際法に違反している」とコメントを出した。その通りだと思う。

グリーンピースの主張、北極の自然を守ろうというのは正当な意見だ。しかし、そのために、自分たちが国際法を無視してもいいという理屈は通らない。ロシアのしていることが気に入らなくても、ロシアはれっきとした主権国なのだ。そこではロシアの法律が生きている。その法律がおかしいといくら外国人が言っても始まらない。ロシアが領土内でしていることに干渉するには、他の手続きがいる。

グリーンピースの主張では、今回の彼らの行動は「何の問題もない平和的な抗議活動」で、ロシアの対応が、「平和的な抗議活動への重篤な恐喝」なのだそうだ。しかし、ビデオを見ていると、とても平和的には見えない。挑発的で、どちらかというと戦闘的だ。

そもそも、あのような状況で垂直の壁など普通の人間は登れない。それなりの訓練をした人たちに違いない。それなのに、この明らかな違法行為が、なぜ、環境保護という名を掲げた途端、ウヤムヤになり、市民権を得てしまうのだろう。

10月9日、ロシア当局は、Arctic Sunrise号で麻薬が発見されたと公表した。アヘンとモルヒネだそうだ。活動家たちの罪はどんどん重くなっていく。なお、グリーンピースの代表Kumi Naidoo氏は、30人が釈放されれば、自分が身代わりになると提案した模様だ。

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