毎日フォーラム~毎日新聞社

日本郵便が見守り事業に参入
地域密着のサービスで「孤立死」対策に効果期待[超高齢化社会]

2013年10月13日(日) 毎日フォーラム
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日本郵便(高橋亨社長)は10月から「郵便局のみまもりサービス」を過疎地域から試行的に始めた。全国に約2万局を持つ同社が新規ビジネスとして高齢者対策の分野に乗り出したとして注目を集めている。厚生労働省が今年1月に発表した「日本の世帯数の将来推計(全国推計)」は、2035年には65歳以上の高齢者の一人暮らし世帯が全世帯の15・3%に達すると推計。「独居老人世帯」対策が喫緊の課題となっている。今回からシリーズで同社をはじめ超高齢化社会に向けて動き出した民間企業の取り組みと課題を追う。

日本郵便の「みまもりサービス」の基本料金は月額1000円(税別)。担当職員が月1回、高齢者宅を訪問したり、食事会などへの招待によって高齢者の生活状況を把握し、依頼を受けた遠方の家族などに報告や、健康や医療機関の紹介などの悩み事相談を受ける「24時間電話相談」、「かんぽの宿の宿泊割引」、「会報誌の発行」のサービスを受けられる。

実施エリアは北海道(登別市、白老町)、宮城県(大崎市の一部、涌谷町、美里町)、山梨県(大月市、都留市、西桂町、道志村)、石川県(珠洲市、能登町の一部、岡山県(新見市)、長崎県(対馬市)の6エリアで計103局。「ユニバーサルサービスを目指す企業として、特に過疎化が進む地域を優先的に選んだ」(同社広報室)という。今後もエリア拡大を目指す。

高齢者問題に詳しい政治ジャーナリスト、藤本順一氏は「全国に張り巡らされた郵便局の物流と情報のネットワークを過疎地に取り残された高齢者対策に活用する試みを高く評価したい」と話す。

9月2日に募集を開始しているが、広報室は「問い合わせも含めると相当の反応があり、高齢化問題が深刻なことをうかがわせる」と分析している。日本郵便ではオプションとして電話によって毎日の体調確認を行うほか、買い物支援サービスも用意。民間業者への委託や地元小売店との提携を進める。

政府は要支援1、2や介護1を介護保険から切り離すことを検討している。自活可能な高齢者には、在宅でのケアを要請するもので、こうした高齢者の生活支援サービス市場はさらなる成長が見込まれる分野とされている。藤本氏は「事故を防ぐために委託業者の質を高める資格制度の充実が急がれる。地域によっては新たな雇用創出にもつながる」とみる。

独居老人世帯対策が注目を集めたのは、11年に東京都立川市などで相次いで発覚したいわゆる「孤立死(孤独死)」問題だ。「孤立死」については「明確な定義はない」として内閣府も厚生労働省も全国的な統計はとっていない。だが、変死体などを扱う東京都監察医務院が公表している一人暮らしの高齢者が自宅で死亡した件数は11年の1年間だけで2618人。80歳以上は946人と全体の36%を占める。07年に2361人を記録してから2000人台で推移し、増加傾向にある。

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