社長の風景

「人生は一度きり」と常に、
強く自分に言い聞かせる

マクロミル 杉本 哲哉

2010年03月25日(木) 週刊現代
週刊現代
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商品開発者には共通の悩みがある。消費者は今ある商品のどこに満足し、どこに不満を持っているのか。そして、開発した商品はズバリ、売れるのか?
  そんな悩みを解決する手段が「リサーチ」だ。杉本哲哉氏(42歳)が創業した『マクロミル』は、ネットを使ってリサーチを自動化し、以前は納期数ヵ月、料金は数百万円が相場だったところを、最短で翌日納品、料金は5万円から(現在は7万円)と桁違いに圧縮してみせた。'00年に創業し、'05年には東証一部へスピード上場を果たした"堅実系IT社長"のサイドストーリーを聞いた。

 

自分には常に、強く「人生は一度きり」と言い聞かせています。思い切って起業したのも、すべてはこの思いがあるからです。 すぎもと・てつや/'67年、神奈川県生まれ。
'92年に早稲田大学社会科学部を卒業後、リクルートに入社、'00年にマクロミルを起業。
市場調査のアンケート作成・調査・集計を自動処理するシステム「AIRs」を独自開発して業績を伸ばし、'05年には「アントレプレナー・オブ・ザ・イヤー」日本代表を受賞した

先輩がこぼす涙
新卒で入社したリクルートで、営業に配属となった2ヵ月目のこと。"名刺獲得キャンペーン"という日があって、とにかく「1日で300枚の名刺を集めろ」と号令がかかったんです。
  その日、クタクタになるまでやって、夜11時くらいまでに288枚だったかな? なんとか集めて「これならほめてもらえるだろう」と帰社したんです。
  ところが―今も覚えています。岩崎さんという先輩に報告したら、彼がボロボロと泣いたんですよ。「あと12枚じゃないか、何故最後までやり通して帰ってこないんだ。オマエはこのままじゃ何をやっても中途半端な人間になってしまう」と。
  その後、新橋の路地裏に走っていって、店のママや黒服の人など、とにかく声をかけて「まずは飲め」などと言われながら、残りの12枚をかき集めました。
  あのときの経験が「やると言ったらそれは何があってもやるんだ」という精神を自分に与えてくれたんだと思っています。

「問題」は宝だ
起業を考えたのは'99年です。会社でデータ放送に関する事業を担当して、テレビ画面に番組表が出てくるEPGサービスなどを検討していたんです。
  そのとき、どんな機能が求められているか、そもそもどんな人がデータ放送を見たいのかを調べるためにリサーチをしたんですが・・・結果が出るまでに3ヵ月もかかって役に立たず、数百万円がパァ(笑)。
  このとき、ネットを使えば安く速くできるのではないかと考えたんです。

商売の意義
加えて、自分がそれをやる意義も考えました。まず、リサーチが安く、速くなれば、消費者の元に、欲しかった商品が速く届くようになりますよね。ほかに、地元の八百屋さんの商圏にスーパーが進出してきたときに、そんな条件下でも、「どんなものをいくらで売っていたら八百屋に行きますか?」という調査をし、生き残るためのヒントを得ることもできます。
  数万円の投資で大手の企業に対抗するための答えが出せるんです。予算のない個人商店でもリサーチができる。そんなサービスが創れるなら"やるしかない"と思ったんです。

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