汚染水問題にひそむ課題---抜本対策の問題点と国費投入の懸念事項について

2013年10月09日(水) 馬淵 澄夫
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緊急対策「地下水バイパス」の課題について

では、その緊急対策についてはどうか?

緊急対策のうち、建屋へ地下水を「近づけない」ための対策としては、建屋付近への地下水の流入量を抑制するため、建屋山側において地下水をくみ上げ、くみ上げた地下水の線量確認を行ったうえで海洋に放流する地下水バイパスが挙げられているのみ。その他の緊急対策は建屋海側の汚染水に関するものだ。

その意味で、地下水バイパスは、山側から流れ込む地下水を建屋に近づけない、建屋への地下水の流入量を減らす、唯一の緊急対策として位置付けられている。

しかし、今もって地下水バイパスの稼働見込み時期は未定である。地下水バイパスの稼働には、地元漁協をはじめ関係者の理解を得ることが前提となるのだが、その同意が得られない状態だ。

地下水バイパスの設備自体は、今年3月に完成しているにもかかわらず、半年間未実施のままなのだ。

地下水は山側から海側へと流れているが、地下水バイパスの山側、すなわち地下水の上流では、8月19日にタンクから300tの汚染水が漏えいし、堰外に流出したのをはじめ、複数のタンク底部等で高い線量が測定されている。

タンクからの汚染水漏れによる地下水への影響が懸念されるが、地下水バイパス用のNo7,No11,No12の井戸(揚水井)における今年2~3月及び今年8月のトリチウム濃度は、No7井戸が、3月31日に30 Bq/l、8月29日に470 Bq/l、No11井戸が、2月12日に57 Bq/l 、8月30日に300 Bq/l、No12井戸が、2月16日に450 Bq/l、8月に900 Bq/lと上昇し続けている。

タンクからの汚染水漏れによる影響については、引き続き注意を払う必要がある。

一方、「地下水バイパス稼働後の水質確認方法」として、東電は「周辺の海域や河川で検出された放射能濃度(セシウム‐137を代表目安核種とする)に比べて十分に低いこと」を挙げている。

周辺河川のトリチウム濃度の値は、検出限界値未満から0.79 Bq/lとなっている。つまり、周辺河川の濃度と比べても、地下水バイパスの揚水井のトリチウム濃度は1000倍近くも高くなっているのである。

このような状況の下、政府・東電は、地下水バイパスの稼働開始について、地元漁協をはじめ関係者の同意を早期に得ることについて、楽観的な見通しを持つべきではない。関係者がナーバスになるのは無理のないことだ。

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