プロ野球特別レポート マエケンが投げて「広島が日本一」という夢を見ようじゃないか カープ29年ぶりの「奇跡」へ

無名選手を見出し、こつこつと育て、そして他球団に引き抜かれる。カープの歴史はその繰り返しだった。でも今季は違う。新たな生え抜きのスターが、待ちに待った日本一という夢を見せてくれる。

いまなら巨人より強い

広島カープの捕手として、黄金時代を支えた達川光男氏は「ついにこの時が来た」と言う。

「いまのカープと前半戦のカープはまったく別のチームです。現在のカープは走・攻・守、そして精神面、どれをとっても巨人と五分以上の戦いができるほど充実しています。それに、広島には巨人と違い前田健太という絶対的なエースがいる。アドバンテージで巨人に与えられる1勝は確かに大きいですが、大事な試合ほど力を発揮するマエケンが大車輪の活躍をすれば、'84年以来となる日本一も決して夢ではありません」

球団史上初となるCS(クライマックスシリーズ)進出を決めた広島。全国のカープファンが待ち望んだ、29年ぶりの日本一への気運がにわかに高まっている。広島通で知られるジャーナリストの二宮清純氏も言う。

「阪神は9月に入って6勝14敗2分と元気がありません。一方の広島は14勝7敗ですから、その余勢を駆って戦えばいい。そうすれば、巨人を倒しての日本一も見えてきます」

とはいえ、巨人との直接対決では7勝14敗(9月26日現在・以下同)と大きく負け越している。「広島なんかに負けるわけがない」という巨人ファンの声が聞こえてきそうだが、一概にそうだとは言いきれないと語るのは、広島の元エース、大野豊氏だ。

「14敗のうち1点差負けが7試合、2点差が2試合と、9敗が僅差なんです。シーズン序盤はリリーフ陣が安定しなかったために負けがつきましたが、マエケン、バリントン、野村祐輔、大竹寛の先発4本柱は、巨人打線相手に決して負けていない」

大舞台で広島がその僅差を覆すためには、かつての赤ヘル軍団のような、相手の嫌がる緻密な野球をする必要がある。広島がいかにして巨人を倒すか—CSをシミュレーションしながら、その鍵を探っていこう。

キーマンとなるのは何といっても前田健太だ。マエケンはここまで15勝6敗。巨人戦には4戦投げて3勝0敗、防御率も0・96と完全に圧倒している。さらに各バッターとの対戦成績を見ても、主力のなかでは阿部慎之助とボウカーの打率・250が最高。それ以外は全員2割以下に抑えている。つまり、マエケンは巨人に苦手としている打者は一人もいないのだ。