リスクが大きい消費税増税---なぜ日本人は消費しないのか?
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来年4月から、消費税が8%に引き上げられることが正式に決まった。このことが景気に悪影響を及ぼし、デフレを克服するという課題の解決を難しくしないのか。政府は、その懸念に応えるために、5兆円にのぼる経済対策を、同時に決めた。しかし、私は、なおリスクが大きいと思っている。

日本のGDPは500兆円、その6割の300兆円が個人消費である。つまり、単純化して言えば、個人消費が伸びないかぎり、景気回復はないということである。街角の景気ウォッチャーの観測を見ても、さほど個人消費が伸びているとは思えない。デパートなどで目立つのは、富裕層が資産価値のある高額商品を買いあさっている姿である。庶民レベルでは、羽振りよくお金を使うには、ほど遠い状況が続いている。

個人消費を伸ばすには、どのような政策が有効なのか。それを知るためには、何が個人消費を阻害しているかを考えればよい。

企業のガバナンスを改善して従業員の賃上げを!

まずは、給料が安いことである。この20年間、デフレが続いたために、サラリーマンの賃金は下がっている。安月給では、消費しようがない。特に、非正規労働者の増加が、低賃金に拍車をかけている。大まかな数字で言うと、正規労働者の年俸が460万円なのに対して、非正規労働者では160万円である。この非正規労働者が全労働者に占める割合は、約35%である。残念ながら、この数字は、今でも増え続けている。

企業経営という観点からは、固定費、とりわけ人件費の負担が重い。これを軽減するために、非正規労働者に頼るのである。会社が儲かっても、まず内部留保を積み増す、さらに株主に対する配当の支払いもある。従業員の賃金を上げるのは、最後である。賃上げをした企業には、減税で報いるというが、そのような撒き餌に簡単に飛びつく経営者は少ないであろう。賃上げをすれば、企業にとっては、社会保険料の負担も増えることになる。

賃上げがなければアベノミクスの成功は覚束ないが、来年4月に基本給を上げる企業がどれくらいあるだろうか。毎月30万円消費する家庭は、消費税が3%上がると、9,000円の負担増になる。つまり、家計の収入が9,000円増えないかぎり、消費を9,000円分切り詰めるしかない。各家庭が、そのような消費行動をとれば、景気は冷え込んでしまう。

低賃金なのは、企業のガバナンスが悪いからである。改革を怠っていないか。不要な人材を抱え込むことによって、優秀な人材に対する然るべき処遇がなされていないのではないか。企業の生産性が落ち、グローバルな競争に耐えることができないような企業が増えていないか。日本企業こそ、徹底した改革を断行することによって生産性を向上させ、従業員の給料を上げなければならない。

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