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〔PHOTO〕gettyimages

消費税増税が決定的になったいま、次の焦点は「法人税」に移行している。日経新聞なども法人税下げの論陣を張っているが、その根拠として出てくるのは「まず企業が潤えば、その後は社員に・・・・・・」とのいわゆるトリクルダウン説である。一方で、トリクルダウン政策で格差が拡大したといわれる韓国の例もある。果たして、法人税は下げるべきなのか。

こうした問題を考える時は、まず基本に帰りたい。大学生時代に法人税の講義で習った、「法人実在説」と「法人擬制説」を覚えている人は少ないだろう。前者は、法人も公共サービスの恩恵を受けるのだから法人税を負担すべきというもの。後者は、法人は個人の集合体であるので、個人ベースで完全に課税が行われれば法人税自体が不要であるというものだ。つまり、前者は法人税の正当化、後者は経済的な理由からの法人税の撤廃を主張するそれぞれの理論的支柱である。

もっとも、税理論ではほぼ決着がついている。

ノーベル経済学賞受賞者のフリードマン教授が指摘していたが、税には「中立性原則」があり、その観点からいえば所得税を課した上で法人税を課すのは二重課税であり、二重課税排除の点から法人擬制説が優れているのは明らか。しかし現実の税務執行では、個人の所得・資産は十分に捕捉できないのでやむを得ず法人課税をしている。法人擬制説に立つべきだが、現実は法人実在説でなんとかしのいでいるのである。

それでもグローバル企業が出てきて、法人税の安い国に拠点を構える傾向が顕著になっている。アマゾンやグーグル、スターバックスなどがオランダやアイルランドを経由して節税するケースが相次いでいるのがその典型例。こうした事実の前では、法人実在説を唱えても、所詮井の中の蛙。国内だけで通じる論理にしかならない。

そもそも、日本の法人税率が高いのは、先進国の中では珍しく納税者番号制度を徹底せず、また歳入庁という税・保険料の徴収機関が先進国では例外的に存在しないため、個人の資産・所得把握が不十分な結果ともいえる。

海外では納税者番号制度も歳入庁も当たり前で、一定の個人の資産・所得把握が可能だから、法人税率を下げられる。日本はその点で後れをとっている。

というわけで、まずは納税者番号制度と歳入庁をキチンとした上で、個人の所得税課税ベースを広げることが大切。簡単にいえば税金を払わない人から税金を取って、クロヨン(税務署がサラリーマンの場合9割、個人事業者6割、農業従事者4割しか所得を捕捉できていないという都市伝説)の懸念を一掃すれば、法人税は簡単に下げられるし、下げて当然という話になる。

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