「いつかは処分が下る」と思っていた「いつかはゆかし」~金融詐欺や不当販売に騙されないための心得とは~

「いつかはゆかし」という金融商品サービス名で大々的に広告をしていた「アブラハム・プライベートバンク」が金融商品取引法に違反していたとして、証券取引等監視委員会が金融庁に同社を行政処分をするよう、10月3日、勧告をしました。おそらく業務停止処分などの重い処分が下されるものと思います。

私自身、同社から難癖としかいいようがない脅しの内容が含まれた内容証明が複数回来たり、明らかに同社の関係者と思われる複数のTwitterのアカウントやホームページで私自身の誹謗中傷や業務妨害のような内容を書かれたことがあります。半沢直樹風に言えば、倍返しをしたい気持ちもありましたが、早晩、このような不法業者には当局からなんらかの処分が下されるだろうと思い、特にコメントをしませんでした。私が反論したり騒いだりすれば、彼らの意図通りであり、同じような業者に成り下がることを恐れたからです。

金融詐欺の共通点

私としては今回の件も含めて、金融詐欺的な業者が後を絶たないことに残念な思いをしています。ただ金融詐欺にはいくつかの共通点があります。

1)確実に儲かるような幻想を与えていること

5万円で毎月30年間で10%の利回りを続けたら1億円になる、ということがホームページに書かれていました。しかし私たちプロの目から見たら、30年間も確定をして10%で回せることはほぼあり得ないと知っています。

確かにそのような結果を出す腕利きのマネジャーはいるかもしれませんが、それを事前に予測することは難しいです。私ももちろんそんなリターンを出したいと思い努力をしています。しかし出せるとは断言できません。

そもそも不確定な「変動」を利用してリターンを出す行為であり、どのように計算をしても予測できないことが起きます。「変動」があることは悪ではありませんが、変動を利用して儲けようとしている以上、よい変動も悪い変動も長期的には甘受しなければいけません。

これは私たちの弱い心につけこんでいます。要するになるべくリスクなく高いリターンが欲しいという気持です。もちろんそのような気持ちを持つのは自然なことです。しかし、それがあたかも実現するかのごとく喧伝する金融商品には「ちょっと待てよ」、と思う気持ちが大切です。



2)タレントや有名人をアイコンとして使うこと

「いつかはゆかし」のテレビコマーシャルやホームページ、電車広告などで使われてしまったタレントの方はとてもお気の毒です。過去、多くの金融詐欺や金融の不当販売をしていた会社は芸能人やモデル、有名人やタレントを使っています。それは金融の情報弱者を騙すにはもってこいだからです。

野村証券や東京三菱UFJ銀行クラスの会社がテレビコマーシャルで有名人を使うのは企業規模からして首肯できるのですが、新興の金融業者が有名タレントを使っている場合、多くは問題企業が多いです。というよりも、私が知る限り、マトモな新興の資産運用会社でそのようなタレントを使うことはありません。

今回の場合、大きな問題になるのは、大手交通機関や新聞、テレビが、プロの目から見れば危険な金融商品を宣伝したという事実です。会社内のコンプライアンスはどうなっているのでしょうか。記事よりも広告のほうがコンプライアンスの基準が甘いとしたら、今後もこのような事件は後を絶ちません。

また広告代理店が彼らからお金をもらい、かれらがライバルだと思っている同業他社の誹謗中傷を行っているという情報もあります。要するメディアや広告代理店が不当な金融販売業者のお先棒を担いだという構造なのです。もちろん、投資には自己責任の原則があるのですが、その誤解を与える情報がメディアが拡散をしてしまったということは大いに反省して欲しいと思っています。

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