話題の本の著者に直撃! 朝井リョウ
「たった一度のミスで人生が終わる」
いまの社会は不寛容すぎます

あさい・りょう/'89年岐阜県生まれ。 '09年早稲田大学在学中に『桐島、部活やめるってよ』で第22回小説すばる新人賞を受賞しデビュー。'13年『何者』で第148回直木賞受賞。同賞史上初の平成生まれの受賞者となった。本作は受賞後第1作となる。大学卒業後、就職。現在は会社に勤務しながら執筆活動を行っている〔PHOTO〕中場敏博

取材・文/平原 悟

―直木賞を受賞したことで、生活や環境になにか変化はありましたか?

 取材依頼が劇的に増えましたね。対談相手も、これまでは同業者が中心でしたが、最近は異業種の方もいて、今までとは違った刺激を受けています。先日もaikoさんと対談しました。作品の中に彼女の歌を登場させたことがあるんですが、直木賞作家という肩書がもたらした出会いは本当に多いです。

―今作は受賞後第1作です。児童養護施設で暮らす子供を主人公にした理由は?

 アイデア自体は1年以上前からありました。当時、子供が主人公の作品に触れる機会が多くて、自分もいつか挑戦したい、とぼんやり考えていたんです。一方で小さな子供が自殺するニュースを見て、『何者』を書く中で就活生特有だと思っていた「逃げ場がない感じ」や「たった一度のミスで人生がやり直せなくなる雰囲気」が、もっと下の世代にも広がっているんじゃないかと気づいて。僕ら世代がその雰囲気を伝染させているのかもしれない、と責任を感じたこともあって、子供たちが「逃げる」ことを選ぶ物語を書こうと思ったんです。