新・国立競技場「本当にこういう風に建てられるのか」

2013年10月06日(日) フライデー

フライデー賢者の知恵

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 だが、懸念の声もある。構造計画プラス・ワン代表取締役の金田勝徳氏が語る。

「あのデザインのままでは難しいと思う。競技場の上にかぶさっている構造体が接地する場所を支点というが、支点間の距離はおそらく160~200mくらいある。構造体の素材は鉄骨か何かでしょう。デザイン通りのスマートな骨組みでこれを結ぶのは難しい。梁を太くする、補強材を用いるなどの修正が必要となる」

 資金面、法的な面でも問題がある。

「費用は約1300億円といわれますが、それでは難しいと思う。細くても強度のある素材を使って、美しい建築を造ろうとすればするほどカネがかかる。2000億近くかかるという試算もある。

 デザインを見ると、道路や線路の上空に競技場の一部がかかっている部分があるが、これを実現するには法的なハードルが高い」(別の構造設計家)

 大会後は維持費用も問題となる。

「開閉式の屋根の作動にかかる電気代、メンテナンス代、座席の清掃……コストは莫大でしょう。見逃されやすいのが芝の問題。埼玉スタジアムでは芝に影がかかる時間が短いが、それでも一部は日当たりが悪くて腐ってしまう。あれだけの構造体がピッチ上にできると、芝のケアにもコストがかかる」(前出・金田氏)

 ヤフードームの屋根開閉には1回あたり約100万円(人件費含む)、芝生の維持には1年間に最低でも約3000万円(同)かかるという。新国立競技場では、その倍以上の維持費がかかると見られる。

景観を守れるのか

 実現可能か否か以前に、デザインそのものへの疑問もある。

「歴史的文脈が濃密な風致地区(自然美を維持するための地区)です。そこに、あのような巨大な建物を造ろうという計画自体が基本的に間違っています」

 朝日新聞のインタビューにこう語ったのは、プリツカー賞受賞の建築家・槇文彦氏(85)だ。美観の問題に加えて、人口減少する日本で8万人規模の客席は不要、という理由で計画に反対する。

 前出・金田氏も懸念する。

「あの建物は人間的なスケールではない。近くで眺めると、屋根がせり出してくるような圧迫感を感じると思う」

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