安達誠司「講座:ビジネスに役立つ世界経済」

「講座: ビジネスに役立つ世界経済」
【第20回】 日本経済に先行するイギリス経済?

2013年10月03日(木) 安達 誠司
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〔PHOTO〕gettyimages

10月1日、安倍首相は、来年4月からの消費税率の引き上げ決定を正式に表明した。安倍首相は、現状の景気回復、特にデフレ脱却へ向けて経済が順調に歩んでいる状況を確認し、この状況が続けば消費増税を断行してもデフレ解消の道筋に大きな影響はないと判断したのだろう。

過去の経験、欧米諸国の事例は参考にならない

「専門家」といわれるエコノミストの圧倒的大多数も、また、日銀の大胆な金融緩和を強く主張してきた「リフレ派」の政治家(安倍首相を政治面で支援してきた)の多くも消費税率引き上げの経済に与えるネガティブな影響は軽微であると判断している点も今回の安倍首相の判断を後押ししたと思われる。

多くのエコノミストが根拠としているのは、1989年と1997年に実施された過去2回の消費増税の経験、及び、欧州諸国の事例である。これらの多くのケースにおいて、消費増税そのものが景気を大きく押し下げた明確な理由は見当たらない。

さらに、1997年の日本は消費増税を実施後に「平成金融恐慌」といわれる大不況を経験し、これがその後、15年超にも及ぶデフレのきっかけとなったが、これも消費増税が理由か否かは必ずしも明確ではない(圧倒的多数の「専門家」は夏場に発生した「アジア通貨危機」の影響の方がはるかに大きいと結論づけており、アジア通貨危機がなければ、1997年の消費増税も景気に影響を与えなかっただろうと考えている)。

ただし、今回の日本の消費税率引き上げの影響を考える場合、これらの過去の事例はあまりに状況が異なり過ぎて全く参考にならない。何故ならば、欧州諸国では、生活必需品を中心に軽減税率(もしくは消費税率がゼロ)が適用されている品目が多くあり、これが消費に与える影響を軽微にさせた可能性が高いためである。

また、それよりも、デフレ、及びそれに近い金融危機による信用収縮という大きな経済ショックから十分に立ち直る前に消費増税を断行した事例はほとんどないためである。

次ページ そこで、筆者が唯一、今回の日本…
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