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ITトレンド・セレクト
2013年10月03日(木) 小林 雅一

今、話題の自動運転車は、なぜ自動で運転できるのか? その基本メカニズムを「ベイズ理論」にまで遡って解説

これらセンサーが計測した各種情報、つまり「目」や「耳」から入ってくる周囲の情報を処理し、クルマの進路変更や障害物の回避など知的な情報処理を行うのが、自動運転車の頭脳にあたるAI(人工知能)、つまり高度なソフトウエアの役目だ。本稿では、こちらの方の仕組みを若干詳しく説明したい。

自動運転の基本は「ベイズ理論」

自動運転車のAIは色々な仕事をこなさねばならないが、特に重要なのはクルマが自分の現在地を知るための「位置確認」と、周囲の歩行者、障害物、あるいは脇を走る別のクルマなど、「様々な移動体の場所」を把握することだ。この2種類の仕事を正確に遂行できれば、自動運転車は障害物や歩行者、あるいは他のクルマなどを巧みに避けて、安全に走行することができる。

自動運転車に搭載されたAIでは、現在地の確認は「モンテカルロ・ローカライゼーション」、また周囲の移動体の把握は「カルマン・フィルター」と呼ばれる手法によって実現されている。いずれも実は「ベイズ定理(ベイズ理論)」と呼ばれる統一理論をベースとしている。モンテカルロやカルマン等の手法は、言わばベイズ定理を自動運転車のようなロボット工学に応用した理論と見ることができる。つまり自動運転車の原理を理解する上で、本質的に重要なのはベイズ定理なのだ。

ベイズ定理は、18世紀初頭に英国で生まれた牧師、トーマス・ベイズが考案した確率理論だが、彼自身は、これを論文にして発表することはなかった。しかしベイズの死後、この理論について彼の残したノートが発見・出版され、これがピエール・シモン・ラプラスら高名な数学者の目にとまり、そこから「ベイズ定理」と呼ばれて後世へと継承されてきた。

ベイズ定理とは何か?

ベイズ定理は昨今では、「ベイジアン・フィルター」のような迷惑メールの除去ソフトなどに使われていることで知られるが、その潜在能力は実はそんなものとは比較にならないほど大きい。ベイズ定理は自動運転車のみならず、アップルの音声アシスタント「Siri」、グーグルの意味理解検索エンジン「セマンティック検索」、また(恐らくは)アイロボットの自動掃除機「ルンバ」など、現在、商品化されている様々なAI製品のベースとなる基本理論なのだ。18世紀の牧師が考え出した数学理論が、21世紀のAI革命を引き起こすことになろうとは、考えてみれば驚くべきことだ。

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