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「原発汚染水」これが真相だ【第2部】海に流れる原発汚染水は大丈夫?【第3部】いま震度6の余震がきたらアウト
徹底解明あなたとあなたの家族の生命がかかってる
いまも放射性物質はダダ漏れしている〔PHOTO〕gettyimages

第2部 そんなわけないでしょ
海に流れる原発汚染水は薄められるから大丈夫?

薄まった後、凝縮される

「汚染水に含まれる放射性物質は、大量の海水で薄まるから大丈夫なんじゃないか、といまだに考えておられる方もいるようですが、それは違う。海洋で薄まっても、放射性物質がなくなるわけではありません」

 中部大学大学院工学研究科の武田邦彦教授はこう指摘する。

「拡散した放射性物質も、結局、生物が集めて濃縮されていく。『生物濃縮』といって、小さな魚が海の底で海藻などを食べる。その小魚を、大きな魚がたくさん食べる。これを繰り返すと、大きな魚の体の中には、放射性物質が集められていってしまうんです」

 これまで魚介類の放射性物質による汚染では、放射性セシウムが注目されてきたが、武田教授は今後、別の物質に注目していくべきだと話す。

「問題なのは、放射性ストロンチウムです。セシウムは軽いので、建屋の爆発とともに舞い上がり、風に乗って遠くまで運ばれました。一方のストロンチウムは重いので、汚染水となって海に出て、海底にジワジワと広がっていくのです。

 困ったことに、魚介類などに含まれるストロンチウムは測定が非常に難しい。現状では、急いでも15日くらい、へたをすると1ヵ月くらいかかる。魚は鮮度のいいうちに食べたいというニーズがありますから、流通前の検査項目には入っていないのです」

 タンクから流出している汚染水には、このストロンチウムが多く含まれている。東電が稼働させている放射性物質除去装置のサリー(東芝製)はセシウムしか除去できないからだ。

 実際、問題のタンク周辺を通り、外洋に直接つながる排水溝で採取された水からは高濃度のストロンチウムが検出されつづけている。

 9月11日には前日までの10倍を超える、1リットルあたり220ベクレルのストロンチウムを検出。海が汚染されているのは確実だが、いまだにこの排水溝にはストロンチウムなどを常時モニタリングする態勢すら構築されていない。

 ダダ漏れしつづけている放射性ストロンチウム。このままだとどうなるのか。元放射線医学総合研究所主任研究官の崎山比早子氏はこう指摘する。

「セシウムは粘土質などに強固に吸着されるので川底や海底に溜まり、水から除くのが容易なのですが、ストロンチウムは広がりやすく汚染はより深刻です。

 幅広い種類の魚を汚染するうえに、生物濃縮で大きな魚になるほど多く蓄えてしまう可能性も高いのです。しかも、計測するのもセシウムよりずっと困難な物質なのです。

 さらに成人の場合、体内に入ったセシウムの量が代謝・排出によって半分になる期間は約100日です。

 ところがストロンチウムはカルシウムに似ているため骨や歯に取り込まれてしまい、体内で半減するのに約18年かかります。長い間骨の中にとどまって血液を作る骨髄に放射線で傷をつける。そのため白血病や骨がんの原因になります」

 実際、チェルノブイリ周辺の子供たちも、歯に放射性ストロンチウムを取り込んでいるという報告がある。

「セシウムの場合は、主に魚の筋肉に入りますので、たっぷりの水で調理して、煮汁を全部捨てると減らせますが、うま味は全部なくなり、カスを食べるようなことになってしまいます。

 一方のストロンチウムを避ける調理方法というのは、私は知りません。骨を避けること。丸ごと食べる小魚などを極力、避けることくらいでしょうか」(崎山氏)

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