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世界のリーダーたちが明かす「ニッポンの7年」
ダボス会議は日本礼賛で一色に

日本経済「黄金の7年」が始まる
日本にエールを送った「ダボス会議」創始者のシュワブ総裁〔PHOTO〕gettyimages

「われわれは今回、アジアは中国だけでないことを思い知った。アジアには日本があるのだ。日本はもはや、経済が停滞した"過去の国"ではない。アベノミクスで完全に復活した。その上、2020年にはオリンピックまでやって来る。

 この偉大なる日本を、皆で称えようではないか!」

 日本酒が注がれたグラス片手にこう雄叫びを上げたのは、「ダボス会議」(世界経済フォーラム)創始者のシュワブ総裁である。

「経済界のオリンピック」と言われるダボス会議は、毎年1月末にスイスの寒村ダボスで開かれているが、中国ブームが沸騰したことから、'07年から「夏のダボス」を、毎年9月に大連と天津で交互に開いている。今年も9月11日から13日まで大連で開かれ、李克強首相を始め、内外のVIP約1500人が参加した。

 日本のすぐ隣に世界の政財界のVIPが集結するというのに、「夏のダボス」ではこれまで、日本パッシングが甚だしかった。「ガラパゴス化した過去の国よりも、熱い13億人市場」というのが"世界の常識"だったからだ。'11年からは、日本も再び注目を集め出したが、それは「ツナミ(震災)とフクシマ(原発事故)でかわいそうなニッポン」という同情の声だった。

君はジャパンナイトを見たか

 それが今年は一変した。「夏のダボス」に合わせて、大連のホテルで「ジャパンナイト」と呼ばれる日本紹介イベントを催したところ、世界のVIPたちが殺到したのだ。主催した日本政府関係者が語る。

「日本が尖閣諸島を国有化して1周年にあたる9月11日の晩しかスケジュール的になく、戦々兢々としていました。ところがシュワブ総裁を始め、会場に入れないほどのVIPたちが殺到したことで、改めて注目の高さを実感しました」

 五輪日本招致のプレゼンター役を務めたフェンシング銀メダリストの太田雄貴選手も挨拶に立ち、ひっきりなしにサインや写真撮影をせがまれていた。

「ブエノスアイレスから東京へ戻って荷物を置いて、その足で大連に来ました。中国でこれほどニッポンが盛り上がっているとは驚きです」(太田選手)

 会場には、香港有数の投資家であるファースト・イースタン投資集団のビクター・チュー総裁も顔を見せた。チュー総裁は全日空に多額の投資をしているのを始め、日本への投資を急増中と囁かれている。

「日中関係は短期的には厳しいかもしれないが、長期的には大いに楽観視している。オリンピックを行う国は、おしなべて平和を志向するものだ」(チュー総裁)

 同じく上海の大手投資グループの馬凱集団・李震会長も語る。

「これから7年間は、日本の情報収集に力を入れ、特に日本の不動産に注目していく」

 インドの著名なジャーナリストであるプランジャル・シャルマ氏は、「インドでにわかに日本ブームが起こっている」という。

「今年に入って、カレーしか食べなかったインド人が、寿司に目覚めた。スズキの車に乗って寿司を食べに行き、子供は日本のマンガとゲームに夢中というのが、インドの都会人の新たなライフスタイルだ」

 また、中南米の牽引役を果たしているコスタリカのゴンザレス貿易相も、アベノミクスを絶賛する。

「日本は7年間のチャンスを得た。JETRO(日本貿易振興機構)などを通して、アベノミクスの情報は逐一得ているが、日本経済の復活は、エキサイティングの一言に尽きる。日本のチャンスは中南米のチャンスでもある。これを機に日本との貿易を、さらに拡大させたい」

 マルタのムスカット首相は、「これを機に近隣諸国との関係を再構築してはどうか」とアドバイスする。

「夏のダボス」ではついに、アベノミクスに関するセッションも登場した。大ホールで300人以上の参加者たちが見守る中、「次期経団連会長」の呼び声高い三菱商事の小島順彦会長ら6人の論客が、壇上でアベノミクスについて熱く論じた。

 壇上に立った一人、米ジョンズ・ホプキンス大学ライシャワー東アジア研究所長を務めるアメリカきっての知日派学者ケント・カルダー教授が語る。

「アベノミクスが進化して、いまやアベノリンピックになったのだ。日本は今度こそ立ち直るだろう。アメリカは大いに期待している。

 10月初めには安倍首相が、消費税の増税を決断するが、昨年国会を通過した通り、来年4月から3%上がったとしても、いまの勢いの日本なら、十分耐えられるだろう。日本はアベノミクスのプランに沿って、一歩一歩飛躍していってほしい」

 オリンピックに関しては、ブエノスアイレスで日本のライバルだったトルコのババチャン副首相も、本誌記者に祝福のコメントを寄せた。

「安倍首相が5月にトルコを訪問した際、招致合戦ではライバルだが互いに頑張ろうと、エールを送り合ったものだ。だからわが国は敗れはしたが、日本に心から祝福を述べたいし、日本の黄金時代にも期待したい。もし4年後にわれわれが再チャレンジした際には、ぜひ応援してほしい」

 2年前に中国人として初めてIMF副専務理事に就任した朱民氏に、今後の日本経済の見通しを聞くと、次のように答えた。

「アベノミクスは、いまのところ素晴らしい結果を出している。今年前半にウハウハだった世界の投資家たちは、アベノミクスに感謝していることだろう。

 だが日本のネックは、金融のアメリカ依存度が高いことだ。円安株高もアメリカの影響が大きいし、今後はアメリカの金融緩和減少によるリスクも孕んでいる。安倍政権は、さらに綿密な財政計画を立てて実行していく必要がある」

 最後に、中国外交部の幹部も注文をつけた。

「実は五輪開催地選挙では、3人の中国人IOC委員は日本に投じたのだ。日本はこのことを忘れないでほしい。アベノミクスとリコノミクス(李克強式経済)は相乗効果が期待できるのだから、両国は以前の協力関係に戻るべきだ」

 ダボス会議で日本の名刺を差し出すと、これまで敬遠されがちだったのが、今年は笑顔で応対されたのが印象的だった。世界の期待度は本物である。

「週刊現代」2013年10月5日号より

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