脱原発&電力システム改革 日本のメーカーも国民もドイツに学べ
[Photo] getty images

 ドイツで、市民による電力会社への経営参加が一段と盛り上がりをみせている。調査研究機関クラウス・ノヴィ・インスティチュート(所在地:ケルン)によると、ドイツ国内の市民参加型「エネルギー供給協同組合」が2012年に656団体と5年間で6.5倍に急増した。

 とても残念なことに日本ではほとんど報じられていないが、ここへきて、ハンブルグやベルリンといった大都市でも、いったんは民間企業に払い下げた公益事業の運営権の買い戻しを自治体に迫る市民運動も活発化している。

 こうした動きの背景には、脱原発や電力の自由化といったエネルギー改革を政府や巨大民間企業任せにせず、自分たちの手で進めようという市民の意識の高まりがある。日本にもおおいに参考になる点がありそうだ。

人口わずか2500人の小さな町が運動を起こした

 ドイツの協同組合制度の歴史は古く、19世紀に遡る。中世以来の農奴制改革に伴い、困窮していた農民や手工業者の窮状を救うために設けられた共済組織が、現在の協同組合の源流という。

 そうした中で、エネルギー関連の協同組合が急増する端緒になったのは、福島第一原発事故以前、史上最悪と言われた旧ソ連のチェルノブイリ原発事故だ。
 この事故が、ドイツ南西部の人口わずか2500人に過ぎない小さな町シェーナウ市の住民たちの危機意識を呼び起こした。

 映画にもなったのでご存知の向きもあるだろう。わが子の生命の安全を気遣う数人の親が集まり、住民グループ「原子力のない未来のための親の会」を結成、放射能から身を守るための情報発信に取り組んだのが始まりとされる。

 その後、原発依存度を下げるために何よりも電気を浪費しないことが重要と考えるようになり、節電キャンペーンも展開した。

 また、この住民グループは、電力システム改革の必要性を痛感。当時、市内の電力供給を独占していた電力会社に対し、原発に頼らない電源の開発、再生可能エネルギーで発電した電気の買取価格の引き上げ、節電を促すための電気の料金体系の見直し(基本料金を大幅に下げる一方で、単位当たりの利用料金を引き上げて、節電を促しやすい体系に転換するように迫った)などを要求した。

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