サッカー
勝利の歓喜を犠牲にしても、観客動員が増えれば良いのか!? Jリーグ2ステージ制で起こりうること
〔PHOTO〕gettyimages

Jリーグが、2ステージ制を採用することになりました。

2年後の2015年から、レギュラーシーズンを「第1」と「第2」のふたつに分け、それぞれのステージの上位チームがポストシーズンを争うというものです。細かな大会方式については、今後の話し合いで決められていきます。

かつて導入していた2ステージ制を復活させる理由について、Jリーグ側からは「観客動員を増やしたい」という意見が聞こえています。それぞれのステージで優勝争いが繰り広げられ、ポストシーズンに年間チャンピオンを決めれば、盛り上がりのタイミングを1シーズンに3回も作ることができます。

それによってテレビ放映が増え、スポンサーを獲得しやすくなり、観客を呼び込む動機付けも生み出せる、というのがJリーグ側の思惑でしょう。

しかし、サポーターと呼ばれるコア層からは、反対の声が上がっています。当然のことだと思います。

2ステージ制で大きく変わるリーグ戦の位置づけ

2ステージ制では、こんなことが起こりうるのです。

第1ステージでポストシーズンへ進出する権利を得たチームが、第2ステージを消化試合と位置づけるかもしれません。結果を度外視して、若手をどんどん使っても、「ポストシーズンに向けて、ベテランのコンディションを整えるためだ」とか、「ポストシーズンを盛り上げるために、我々は万全を期してコンディション調整をしている」とクラブ側から説明されたら、Jリーグ側は反論できるのでしょうか。

ポストシーズンへの進出が決まったチームにとって、第2ステージは勝利が最優先される戦いではなくなってしまうのです。

もちろん、選手たちが手を抜くことはないでしょうし、プロとして恥ずかしくない試合をするはずです。

ただ、年間を通じてもっとも安定した戦いをしたチームがタイトルを獲得するというリーグ戦の位置づけが、2ステージ制によって大きく揺らぐのは間違いありません。

年間チャンピオンになったけれど、心の底から喜べない。心の底から祝福できない。勝ったチームも、負けたチームも、消化不良な思いを抱くことになっても、観客動員が増えれば良いのでしょうか?

かつて私は、Jリーグのジュビロ磐田を指揮して、リーグ戦に臨んだことがあります。自らの皮膚感覚に照らせば、2ステージ制はカップ戦の要素が強まります。

30数試合の積み重ねで順位を決める1シーズン制では、どれだけ得点を奪うのかが大切になります。勝たなければ勝点をあげられませんから、監督たちは「どうやったら勝てるのか」を考えます。

ところが、ポストシーズンは一発勝負のトーナメントです。カップ戦の性格が強まります。負けたら終わりですから、監督たちは「どうやったら相手に失点を許さないか」を強く意識します。自分たちが得点できなくても、相手にも得点を許さなければ、0対0でPK戦へ持ち込むことができる。攻撃的なスタイルを標榜するチームが、チャレンジ精神を封印することもあるのです。

2010年のワールドカップ決勝は、スペイン対オランダの顔合わせでした。ともに攻撃力を武器とするチームですが、結果は延長戦までもつれた末の1対0でした。「負けたらすべてが水泡に帰す」という重圧が、攻撃力をぶつけあうことへのためらいにつながったのです。とりわけオランダは、それまでよりも守備に軸足を置いたサッカーを選びました。

今年の元旦に柏レイソルが栄冠を勝ち取った天皇杯も、準決勝、決勝の3試合はすべて1対0でした。過去10年間の決勝戦を調べても、1対0のゲームが4つあるのです。

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