不公平感を高め、法人税減税の哲学もないまま実施される「消費税増税」国会で野党が聞くべきこと 

いよいよ10月だ。衣替えで季節も変わったことが実感できるが、1日はよりによって消費税増税アナウンスがある。

政府として増税方針を述べるので、秋の臨時国会では是非ともきちんとした国会論戦をやってもらいたいものだ。臨時国会は10月15日から開くようだが、当初の予定より遅く始まり、早く終わる。どうやら、政府は国会をあまり長くやりたくないようだ。しかも、しょぼくれた5兆円の補正予算は、10月15日から予定されている臨時国会には出さず、来年、通常国会の冒頭で、という話もでている。

歳入庁をなぜつくらないのか

それにしても、消費税の基本的なことを国民は十分に理解できずに、増税が進んでしまった。

日本経済新聞社とテレビ東京が9月27~29日におこなった世論調査では、消費増税について、賛成47%・反対48%と意見はまだ分かれている。ちなみに、この質問は、「安倍首相は消費税の税率を来年4月から8%に引き上げることを10月1日に表明します。あなたはこの引き上げに賛成ですか、反対ですか」だ。まだ、安倍首相は何もいっていないのに、増税することを決め打ちしての質問も酷いが、それにも関わらず意見が分かれているのは、潜在的な増税反対が多いからだろう。

ちなみに、日経新聞は、8月26日付け朝刊で「消費増税 7割超が容認」との見出しをつけたが、とんでもない報道だった。というのは、質問は「予定どおり引き上げるべきか?」について、「引き上げるべき」17%、引き上げるべきだが、時期や引き上げ幅は柔軟に考えるべきだ」55%を合計したものを「消費増税 7割超が容認」という、”誤報”に近いものだった。

新聞はこうした増税一本槍の論調ばかりだ。前出の世論調査で、「消費増税に備え、あなたはどのような政府の対策が重要だと思いますか。次の中からひとつだけお答え下さい」の質問に対して、「食料品などの消費税率を低くする軽減税率」48%、「所得税など個人向けの減税」18%、「現金給付など低所得者対策」10%、「賃上げや設備投資を促す企業向けの減税」7%、「公共事業」5%が上位五つの回答だ。

新聞業界は、軽減税率を希望しているので、新聞の”教育効果”のために軽減税率の回答が高いのかと邪推してしまうそうだ。

軽減税率と現金給付を比較すれば、ある品物について軽減税率を適用すると、所得の高い人まで恩恵を受けるに対して、現金給付のほうは所得の低い人向けに手当できるので、明らかに現金給付のほうが優れている。新聞では、自己の業界に不利になるので、こうした正論はなかなか出てこない。

もっとも、本格的に現金給付をするためには、課税ラインより上の人は減税、課税ラインより下の人へは現金給付という給付付き税額控除にならざるをえない。それを実施するためには、番号制と歳入庁の社会インフラがないうと難しい。番号制はやっと制度が動き出したが、歳入庁はまったく手がついていない。このコラムで再三指摘してきたが、社会保険料が10兆円以上増収になるし、何より税と社会保険料の徴収の不公平がなくなる。

国民年金では、2012年度の保険料納付率は59%だった。デフレ以前は納付率は80%台をキープしていたが、1997年度に79.6%と80%台を割ると、デフレ悪化により2001年度には70.9%にまで低下した。2002年度から国民年金保険料の徴収業務が市町村から国(社会保険庁)に移管されると、納付率は一気に62.8%にまで低下してしまった。

これは、社会保険庁の徴収能力の欠如とともに、市町村が徴収業務をやっていたときには国民も市町村税の感覚があったからだ。

こうした社会保険料の徴収を穴だらけにしておきつつ、消費増税で取り繕うのは間違っている。しかも、しょぼくれた「1万円」の”簡素”すぎる給付ではまずいだろう。臨時国会では、是非とも「歳入庁をなぜ作らないのか」を政府に聞いてもらいたい。

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