「毎月分配型」投資信託を卒業しよう! 知らないと損をする「行動ファイナンス」の基礎知識

2013年09月25日(水) 山崎 元
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要警戒は「毎月分配型」

特に気をつけたい商品は、毎月分配型の投資信託だ。

毎月分配型投資信託とは、分配金が文字通り毎月一回支払われるタイプの投資信託だ。このタイプの投資信託は、1990年代の終わり頃から存在感を増してきて、前半期の代表的な商品である「グローバル・ソブリンオープン」(設定・運用は国際投信投資顧問)の運用資産は一時、5兆円以上に積み上がり、日本最大の投資信託となった(現在はほぼ半減)。

前半期の毎月分配型ファンドは、主に外国債券に投資するタイプのもので、一口1万円の投資元本に対して毎月30円~50円程度の分配金を支払う、分配金だけの年率利回りで見て年率数パーセントのものだったが、もともと投資信託を売っていた証券会社に加えて、1998年の通称「日本版ビッグバン」で投資信託の窓口販売が解禁された銀行チャネルでもよく売れた。

また、2009年頃から、通貨選択型と称して、投資対象資産(たとえば米国の債券)以外の通貨(たとえばブラジル・レアルのような高金利通貨)リスクを投資家が選択できる投資信託と「毎月分配」をミックスして、典型的には毎月80円~150円程度の分配金を支払う(中には200円という商品もあった)、前半期よりも「刺激的」な商品が販売されるようになり、人気を博した。

長く続いている日本の低金利と、昨年までの日本株の株価低迷の影響もあって、毎月分配型は、現在の投資信託ビジネスの中心的な売れ筋商品だといっていい。

それでは、この「売れ筋商品」のどこが悪いのか。筆者が、「良くない!」と思う点が、3つある。

先ず、運用内容にプラスのリターンがあるとするなら(ないとするなら、そもそも投資すべきではない)、たとえば1年に1度分配する普通の投資信託と比べて課税のタイミングが早くなる毎月分配型が「損」だからだ。

少し極端な例だが、「毎月2%増える運用」が可能な投資信託があるとしてみよう。実際に、筆者の元に飛び込みでやって来た大手証券の新人セールスマンが勧めてくれた商品は、しばらくの間、毎月200円の分配金を支払っていた。

毎月2%の利回りで1年間運用すると、1.02の12乗は1.2682・・・なので、1年後には運用資産は約26.8%増えているはずだ。これを丸々分配するとして、来年度に本則の20%に戻る税率を適用すると、手取りの利回りは約21.5%だ。

次に、毎月の運用利回り2%の全てを分配して20%課税され、分配金をまた同じ投資信託に再投資する前提で1年後の手取り利回りを計算してみると約21.0%になる。毎月の分配で課税タイミングが早くなることによって、約0.5%の利回りを損する計算になる。

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