日テレと読売新聞がタッグを組んで『報道ステーション』に挑む!? 大型BSニュース番組『深層NEWS』がスタート

BS放送の視聴者が増え続けている。ビデオリサーチ社の視聴率調査では、BSの視聴率は「その他(地上波以外の視聴率)」としか表されないが、その数字は右肩上がり。ゴールデン帯に限ると、2009年度の「その他」は平均3%台だったが、2年後の2011年度は6.4%と倍増している。

そもそもBS受信の可能な世帯が急増した。2009年には50.9%にとどまっていたが、2012年末には72.5%に到達。そう遠くないうちに、BSの各番組の視聴率も、地上波の番組のように細かく発表されるようになるだろう。

CM収入も伸びている。地上波の民放キー局によるBS放送が始まったのは2000年12月で、長らく赤字が続いていたが、2007年度決算を境に全局が黒字転換を果たしている。

そのBSで、秋から大型ニュース番組が始まる。9月30日からのBS日テレ『深層NEWS』(月~金曜、午後10:00~同11:00)だ。放送時間帯はテレビ朝日『報道ステーション』の真裏。見る側にとっては、地上波だろうが、BSだろうが、それは関係のないことだから、地上波も巻き込んだ争いになるに違いない。

「メディア各社も目が離せない番組にしたい」

『報道---』には朝日新聞の論説委員がコメンテーターとして出演しているが、『深層---』はキャスター3人のうち2人が読売新聞の編集局次長と編集委員。つまり、「テレ朝・朝日新聞×日テレ・読売新聞」の全面戦争でもある。

意外かも知れないが、日テレが読売とタッグを組んで番組を作るのは、両社の長い歴史で初めて。日テレでは、過去に『読売新聞ニュース』や『読売新聞 は~い朝刊』などが放送されていた時期があるが、あくまで読売による紙面紹介の場であり、共同制作ではなかった。

混成軍の初陣だけに、読売はエースを投入してきた。キャスターのうち一人は、玉井忠幸・編集局次長兼編集委員(53)。編集部門のNO.2で、元政治部長だ。読売のイデオローグの一人であり、インパクトのある署名原稿をいくつも書いてきた。それは「小沢政局で日本を壊すな」(2012年04月27日)。「ひるまず前へ(当時の野田首相に社会保障と税の一体改革の実現を提言)」(2012年1月14日付)など。読売の社論を背にして、踏み込んだ発言が期待できるだろう。

過去、編集の要職にいる大物記者が、現役のままキャスターに就任した例はなく、玉井氏の起用は、日テレ・読売が本気であることを示す。故・筑紫哲也氏が『NEWS23』のキャスターに就いたのは朝日新聞を退社後だし、元共同通信編集局長の後藤謙次氏がテレビ界に転じたのも同社を退いたあと。TBS『NEWS23』のアンカーマンを務めている岸井成格氏は毎日新聞で政治部長や編集局次長を歴任したあと、現在も在職しているが、特別編集委員の立場であり、現場からは一歩引いている。

日テレ・読売が新番組を成功させられれば、得られる果実は大きい。まず、『報道ステーション』から視聴者を引き剥がすことにより、相対的に日テレが地上波での戦いを優位に進められる。常時、15%前後の安定した視聴率を誇る『報道---』は、各局にとって目の上のたんこぶ。だが、地上波でニュース番組の正面戦争を挑むのは、あまりにリスクが大きい。事実、『ニュースステーション』の時代に、TBSは森本毅郎氏をキャスターに据えて『プライムタイム』(1987年~88年)を真裏で放送したが、一敗地に塗れてしまった。

『深層---』が定着すれば、読売ブランドのイメージアップにも繋がるだろう。朝日も『報道---』により、宣伝効果を得ているはずなのだ。

当の玉井忠幸氏は9月20日の制作発表で、「メディア各社も目が離せない番組にしたい」と話していた。日テレと読売の力を結集させることにより、充実したストレートニュースを流すのはもちろん、政財官界のキーパーソンたちを次々とスタジオに招く腹づもりらしい。そこでニュースとなる言葉を引き出し、ライバル新聞に「『深層---』によると」と但し書きされた記事が踊ることを狙っている。

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