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[虎四ミーティング]
名波浩(サッカー解説者)<後編>「香川、本田は役割分担で共存を」

世界の指標を知る重要性

二宮: 今回はザックジャパンの攻撃面について伺います。名波さんは攻撃の中心である本田圭佑と香川真司の関係をどう見ますか?
名波: やはり、本田と香川という異質な2人の距離がうまく近づいた時は、ビッグチャンスが多く生まれていると思います。

二宮: 本田が中央でボールをキープし、サイドの香川が中に入りながら裏へ抜け出すとか?
名波: もしくは香川が左サイドでパスを受けて、インサイドにいる本田へボールを預けてから自分も中に動き出す。香川はドリブルで運んでいくよりも、ボールを味方に預けて1度、相手の視野から消えて入っていくようなかたちが理想だと思います。パスを受けた香川が本田にドリブルで近づこうとすると、相手も警戒しているので潰されてしまう。コンフェデレーションズカップやウルグアイ戦もそういうシーンが何度もありました。

二宮: 近づく過程が大事ということですね。98年フランスW杯の日本代表にも名波さんと中田英寿、2人のゲームメーカーがいました。
名波: もう僕はヒデをいかに気持ち良くプレーさせるかを常に考えていましたね。というのも、そうすれば自分が生きるし、ボランチでコンビを組んだ山口素弘さんも生きると考えたからです。

二宮: 役割分担を考えたんですね。
名波: そのとおりです。ですから、香川も中でプレーしたい気持ちを抑え、役割分担というふうに腹をくくれれば、アウトサイドでもっと輝けるのではないでしょうか。そうすると左サイドで長友佑都とも絡めて、より連動した攻めができると思うんです。さらにボランチの2枚も組み合わさって、化学反応を起こせれば、攻撃のバリエーションは増えるでしょうね。

二宮: ブラジルW杯まであと9カ月を切っています。日本はアジアでは頭ひとつ抜けた存在になりつつありますが、コンフェデ杯で対戦したブラジル、イタリアなど世界の強国とはまだ差がある。強豪国と互角に渡り合って勝つには何が必要でしょうか?
名波: 普段どおりのプレーを出せるかどうかだと思いますね。日本の選手は強豪国が相手になると、普段どおりの実力を出せない選手が多いように見えます。

二宮: その理由は?
名波: 環境、でしょうね。僕が所属したベネチアにはチームメイトにビッグネームといわれる選手はいませんでしたが、試合で2~3週間に1度、「すごいな」と思える相手と対戦できました。長友のインテルやの香川のマンチェスター・ユナイテッドには、チームメイトにビッグネームが揃っています。強豪国でレギュラーを張っている選手と、四六時中一緒にいるメリットはかなり大きいと思いますね。

二宮: 具体的には?
名波: 香川や長友は日本代表として、世界を相手にする時もメンタル的にふわふわせず、スッとピッチに入れているように感じます。要するに世界の指標をわかっているから、どんな相手にも動揺することが少ない。そして、調子がいい時には普段以上のプレーを出せる。逆に、日本は未知な選手が多い分、チーム全体が香川や長友のように世界標準を知れば、まだのびしろはあると見ています。