消費税増税は社会保障の充実のためである! 安倍首相は、5兆円の使い方をきちんと国民に説明できるのか
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税金は、私たちの生活を大きく左右する。税金に関心のない人はいないし、少しでも節税できればと考えるのは当然である。税金は、国民の代表が集う国会で決まる。「代表なければ課税なし」ということである。アメリカ独立戦争も、課税権のない植民地の人々の反乱である。

日本人は、「おかみ」に対する信頼が強いせいか、これまであまり不満をもらさなかった。しかし、企業はグローバルな競争を強いられるので、税制上少しでも有利な国に拠点を移していく。また、一部の金持ちは、資産を海外に移転させたりしている。税制は、もはや日本一国だけの都合で決められる時代は終わったのである。

EUは、国家統合の勇気ある挑戦であるが、加盟国の条件として、付加価値税(消費税)15%以上と決められている。各加盟国の政府にすれば、増税の責任をEUに押しつけることができるわけだし、EU離脱という代価は容易には払えないことを国民も理解している。

企業が儲かれば、家計も潤うという理屈に説得力はあるか

安倍首相は、消費税を予定通り来年4月に8%に引き上げるようである。様々な経済指数が好転しており、増税の環境が整ったという意見もあるが、首相ブレインの経済学者たちが言うように、まだデフレが克服されてはいない。しかし、東京オリンピック招致の成功も追い風となり、財務省の圧力もあって、予定通りの消費税増税となったのであろう。

私は、時期尚早だという意見である。安倍首相の本音もそうだろう。ただ、増税を決める以上は、それが経済成長にマイナスにならないように、何らかの策を講じなければならない。そこで、総額5兆円の経済対策を実行することに決めたのである。

その主たるものは企業減税で、まずは、復興特別法人税(9,000億円)の前倒し廃止である。この税金は、2012年度から3年間、税額の10%を追加徴収するというものであるが、これを1年前倒しで終わらせる。その結果、法人税の実効税率(東京都)は、38.01%が35.64%に下がることになる。

この対策が効果を持つか否かは、評価が分かれている。法人税を納めていない赤字企業が7割を占める現状では、効果が限られているという意見と、しかし、大企業には黒字が多く、効果はあるという主張もある。効果があるとしても、経営者がそれを従業員の賃上げに使わなければ意味がない。

復興のための増税は、個人レベルで言えば、所得税は今年1月から25年間、住民税は来年6月から10年間続いていく。企業が儲かれば、家計も潤うという理屈であるが、それがどこまで説得力を持つのか。家計よりも企業を優遇しているではないかという不公平感が広がれば、国民の支持を得ることはできまい。

その他、3,000億円規模の投資減税や従業員の賃上げ促進支援など、総額5,000億円の企業減税もパッケージに入っている。これらは、成長戦略の一環であると共に、アベノミクスの効果がサラリーマンの給料増加につながるようにするための政策である。しかし、問題は、その意図を理解する能力と実行力を持った経営者がどれだけいるかということである。

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