雑誌
話題の本の著者に直撃! 柳家喬太郎
「落語」はしょせん芸能。
『あまちゃん』みたいに楽しんで!

やなぎや・きょうたろう/'63年東京都生まれ。書店勤務を経て、26歳で柳家さん喬へ入門。'98年にNHK新人演芸大賞で「落語部門大賞」を受賞後、'00年に12人抜きで真打ちに昇進。新作落語を得意とし、「もっともチケットが取れない落語家の一人」といわれる人気の落語家 〔PHOTO〕鬼怒川 毅

取材・文/広瀬和生

―『落語こてんコテン』は『落語こてんパン』に続く2冊目の「古典落語の演目について書いた本」です。こうした読み物は、初心者向けなのか落語ファン向けなのかというバランスが難しいと思いますが、執筆に当たって「誰に向けて」ということは意識されましたか。

 しなかったですね。逆にいまそう訊かれて初めて「ああ、そんなことも気をつけなきゃいけなかったな」と(笑)。ただこれはある意味、高座に上がるのと同じなんですよね。ひとつの演目をテーマにエッセイを一本書くというのは、一席やってる感覚なんですよ。初心者向けに書いたつもりはないし、かといって落語通向けの本でもない。寄席でしゃべってる感じ。お客様には落語をよく知ってる人もいるし、初めての人もいて、どちらにも等しく聴いていただく。それと同じです。

落語を論じる前に稽古しろってこと!

 多少気を遣ったのは、あらすじをどこまで書くか。サゲ(落ち)まで書くのか書かないのか。これは、書いたり書かなかったりしてるんですよ。基本的にはサゲはボカしてることが多いですけど、サゲの説明をしたいときにはそこまで書かなきゃ仕方ない。で、サゲまで見せちゃうときも、「今日はネタバレするよ」って冒頭に書いてるときもあれば、そんなことは書かずに一席をギュッと凝縮した「目で読む落語」として楽しんでもらおう、ということもありました。そのへんはその日の気分次第で(笑)。

―これはある意味、落語を題材に喬太郎師匠が気ままに書いたエッセイ集ですよね。面白いなと思ったのは、いわゆる「名作落語を紹介する」というスタンスではないところです。