メディア・マスコミ
小川和也 × 堀潤 【前編】
暗いニュースよりも「解決策」を求める時代! 「オープンジャーナリズム」が日本社会を前進させていく

[左]小川和也さん(グランドデザイン&カンパニーCEO)、[右]堀潤さん(ジャーナリスト)

メディアの変革はなぜ必要なのか?

小川: これは『デジタル・ドリブン』という連載でありながら、デジタルをあえてネガティブサイドから見る目も入れています。両面から検証することで、はじめてデジタルの本質がみえてくると考えているからなんです。

堀: なるほど。

小川: 今回の『デジタル・ドリブン』は、堀さんと、「マスメディアとデジタルの関係」を中心にお話を進めたいと思います。まずお聞きしたいのが、堀さんは「マスメディアの変革」が必要だと考えているじゃないですか。なぜ、マスメディアの変革が必要なのでしょうか。

堀: そもそも、僕がテレビ業界に入ろうと思ったのは、地上デジタル放送が新しく始まるときでした。テレビで双方向通信が可能になったら、一方的にメディアが何かを決めて、それを国民に伝えることによって、テレビの情報に対して疑心暗鬼が生まれてしまう環境がようやく変わるだろうなって、大学生のときに思ったんです。

ちょうど2000年に就職活動、2001年に入局したんです。2003年から関東、中部、関西でデジタル放送が始まろうとする直前です。

 もともとぼくは原体験として、松本サリン事件という誤報などマスコミが引き起こす問題、その結果、マスコミ不信が非常に高まってくることを目の当たりにしてきました。バブル崩壊後の混迷を極めた世代でもあるので、世の中を斜めに見まくっているわけですね。

小川: なるほど。

堀: 「なんだよ、この大人たちは!」みたいな(笑)。

小川: 局内でそういう方って、だいぶ珍しかったのではないですか?

堀: 僕らの代は、わりと同じような感じの奴らが多かった気がします。

小川: 多かったんですか。やっぱり、それは時代背景とかもあるんですかね?

堀: 入社した同期は報道にいきたいっていうパターンと、ドラマにいきたいっていうパターンといました。岩井俊二さんの『リリイ・シュシュのすべて』とか『スワロウテイル』とかの影響も結構あった。

小川: なるほど。

堀: そんな中、テクノロジーが発達してデジタルでテレビが双方向でやりとりできるようになれば、「このニュースおかしいんじゃないか」といった視聴者のいろんな意見がテレビ局ともっとやり取りできるようになるという夢を描いていたんです。結局できあがったのは、赤、青、黄色、緑のリモコンについているボタンでした。

小川: 『眠いいね!』とかやっていますね。

堀: 最近ね。せいぜいあれですよ(笑)

小川: いまもさほど変化がないままかもしれません。

堀: 10年前 に、テレビが描いた青写真は、せいぜいあれだったわけです。クイズに参加する、紅白に投票する、もしくは夜中にテレビショッピングで商品情報を流す程度です。すごく失望しました。しかし、その後、ツイッターとかのSNSが発達するようになってからは、ようやくテレビを補完できるようになった。「こういうコミュニ ケーションを取りたかったんだよな」と思っていたんです。

 放送と通信の融合も技術的に開発されているということがよく分かった。それが今年9月から、NHKが試験放送を始めた「ハイブリッドキャスト」っていう新しい放送の仕組みです。いわゆるACR(コンテンツ自動認識)っていうんです。

 テレビと手元の端末をリアルタイムで同期して、テレビが出してない情報を手元のタブレットに表示して、こちらで操作する。いわゆるセカンドスクリーンみたいなものをNHKも開発していると、1~2年くらい前に耳にしたんです。

タブレットとテレビが本当に連動するようになるんだったら、デジタル放送で、データ放送では成し得なかったことができるなということは、漠然と頭にあったんですね。そういうときに、東日本大震災や原発事故が起きた。やっぱりネットとテレビの情報が、どんどん乖離していきました。これは早急にネットとテレビを連動させて、視聴者と内側にいる人間をコネクトして、一緒にニュースとかを作れるような仕組みを早く作らなきゃいけないなと思いました。

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