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iOS 7の持つ意味: アイフォーンの再誕か、衰退への第一歩か?

iOS 7を説明するクレイグ・フェデリギ氏(ソフトウェアエンジニアリング担当上級副社長)〔PHOTO〕gettyimages

今月20日の「アイフォーン5S/C」発売に、ほぼ合わせてリリースされる「iOS 7」に高い関心が集まっている。

5S/Cはハードウエアのデザインや機能面で、(カラー・バリエーションやプラスチック・ケースの導入など多少の変化はあるが)前機種からそれほど進化しているわけではない。

これに対し、そこに搭載される基本ソフト「iOS 7」は従来と劇的に変わり、しかも、それはアイフォーン5S/Cより前の機種にもインストールされるので、大半のアイフォーン・ユーザーが実感できる。そういう意味で、今回のアップル新製品は(マルチバンド対応という大きな変化を除けば)ハードよりもソフトの進化が本質的なポイントなのだ。

iOS7には「マルチ・タスキング」や「コントロール・センター」など、機能面での新機軸が幾つも導入されている。しかし、それ以上に目立つのが、いわゆる「Look & Feel」と呼ばれるデザインの劇的変化だ。

既に今年6月の「WWDC 2013」で、この点が強調されていたので、一部の熱心なアップル・ファンやアップル・ウォッチャーはご存じだろうが、それ以外の多くのユーザーにとって、iOS 7が搭載されたアイフォーンを間近に眺めたり、手にとって使ってみると、従来とは全く異なる新鮮な印象を覚えるだろう。

2010年6月、iPhone4を発表したスティーブ・ジョブズ氏 〔PHOTO〕gettyimages

懐古調から機能的なデザインへと一新

従来のアイフォーン(つまりiOS)における、デザイン面での最大の特徴は、一種の懐古主義にも近い装飾上のスタイルである。

たとえば電子書籍サービス「iBookstore」では、木目のある本棚にタイトルが並べられ、電子書籍自体も紙のページをめくるようなイメージで前に読み進めることができる。あるいは「iTunes」や「Podcast」のサウンド再生は、今ではほとんど使われていない「カセット・テープレコーダー」のリールがぐるぐる回転している絵柄をモチーフにしている。

このように旧式の、あるいは伝統的な製品に似せたデザインに、スマートフォンのような最新鋭の機能を押し込めるスタイルは、デザインの専門用語で「スキューモーフィズム(skeuomorphism)」と呼ばれる。スキューモーフィズムは現在、多くのデザイナーから否定的に見られているが、それでもアップルが最近まで、これに固執してきた理由は、スティーブ・ジョブズ氏がこうしたスタイルを好んでいたため、と言われる。

が、そのジョブズ氏が2011年に他界した後、アップルでは同社の屋台骨を変えるほど大きな人事異動が行われた。中でも最大のものは、それまでソフトウエアの開発やデザインを指揮してきたスコット・フォーストール氏が同社を去り、それまでハードウエアのデザインに専念してきたジョナサン・アイブ氏がハード/ソフト両面のデザインを統括する責任者へと昇格したことだ。

フォーストール氏はソフトウエアのデザインについては、ジョブズ氏のスタイルを支持していた。これに対しアイブ氏はスキューモーフィズムを嫌っており、むしろ、もっと機能的でフラットなデザインを好んでいると言われる。このためアイブ氏がソフトウエアのデザインまで掌握した時点で、いずれはiOSが劇的な変化を遂げるであろうことは予想されていた。実際、iOS 7ではそうなったわけだ。

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