PRの発想で「マーケティング×戦略ストーリー」を描く②

今週、第5回の「ad:tech tokyo」が開催されます。その中で、9月18日(水)にインテグレート主催のセッションに私自身、登壇させていただきます。テーマは「物語」です。企業が描く「物語」の可能性について、お話をしようと思います。

同じ日の午前中(私とのセッションではないのですが)、AKQAジャパンのクリエイティブディレクターに就任された渡辺NICK英輝さんが登壇し、パネルディスカッションを行います。お時間のある方は、是非、お立ち寄りください。

詳細はこちら↓をご覧下さい。
http://www.itgr.co.jp/seminar/ad-tech-tokyo2013#a-1

企業(ブランド)は今、"取り組み"が問われている

ところで、AKQAのCOOレイ・イナモト氏のインタビュー記事「広告の終焉: 新時代を生き抜くための4つのアイデア」(WIRED,2013.7.15)を読んだ方も多いと思いますが、僭越ながらここで触れさせていただきます。

この記事の中で、レッドブル・ストラトスの事例が紹介されています。フェリックス・バウムガートナーという命知らずのスカイダイバーが宇宙から音速超えのスカイダイブに挑戦するという「取り組み」で、2012年にかなり話題になりました。

(C)Red Bull

このレッドブル・ストラトスはネット上の評判も上々だそうです。が、僕は正直、「凄いけど・・・?」という感じが否めません。宇宙への興味関心が薄いせいか、それともレッドブルというブランドへの親近感の問題なのか・・・いずれにしても、いま一つ、自分事にならないのです。

だから、ダメだという意味ではなく、もの凄いスケールの大きさに圧倒されつつ、こういう「ストーリーテリング」もアリなのだと口をあんぐりとあけている感じなのです。例えて言うなら、ハリウッドで大評判の映画でも、自分はいま一つピンとこない、あの感覚に似ています。

カンヌライオンズ・クリエイティブフェスティバルの数々の受賞作品を見てもそうですが、「わあ、かっこいい!」「最先端で技術がすごい!」と感動しながらも、いつも、自分はどんな物語を描くのが得意なのかをよくよく考えます。模倣ではなく、自分たちのやり方で、いかに優れた物語を見出すのかを考えなくてはいけません。

さて、レイ・イナモトが提言する4つのアイデアについてです。

1.インテグレートからコネクトへ
2.ブランドの物語から人々の物語へ
3.360°から365日へ
4.メディア依存からビジネス発明へ

要するに、メディア依存のビジネスモデルが終わりを告げ、ダイレクトに人と社会とつながることができる時代になった。メディアへの情報配信、配分による統合では真の成功には導けない。おっしゃることは、「その通り」と頷ける内容です。

あと、「ブランドの物語から人々の物語へ」という問題提起にも同感です。この点について、私は「物語は消費者、お客様の側にある」と考えています。つまり、企業のブランド側でお話が完結することはないのです。ユーザー、生活者側にこそ、ブランドの物語性があって、それをどう引き出すかがストーリーを考える上でも、とても重要な要素だと思っています。

4つ目のアイデアとして、「メディア依存からビジネス発明へ」と指摘しています。いま、デジタル・クリエイティブの領域では、プロモーションを超えて新しいビジネスにつながるようなサービス開発がどんどん生まれているので、そういう言い方になるのだろうと思います。

但し、これはいまにはじまったことではないはずですね。マーケティングである限り、「収益」につながるビジネス機会の創出や拡大は当然のことで、その仕組みがなければ、ただの「喧伝」であって、マーケティング活動とは言えないのではないかと思います。

そんな中で、僕は「物語」というキワードにこだわっていこうと思います。先のレッドブルのスカイダイビングは、やや極端な例ですが、いずれにしても企業(ブランド)は今、"取り組み"が問われていることを自覚すべきでしょう。

さらに踏み込んで言うと、ブランドとしての"取り組み"が積み重なって構成される"イキザマ"のようなものが消費者に伝わるのだと想像してみてはどうでしょうか。

レイ・イナモト氏の指摘の通り、360°メディアの中だけで上手に美しい物語を完結させることは、残念ながら難しい時代になりました。しかし、逆に、消費者にダイレクトにコネクトできる方法は広がりました。

宇宙に飛びださなくても、日々の地に足のついた取り組みであっても、そのブランドにしか描くことができないユニークな物語があるはずです。そのストーリーを探り、つくりあげることを提言してみようと思います。


 

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