世界規模の通信業界再編は起こるか?
巨額13兆円を手にしたボーダフォンの思惑

〔PHOTO〕gettyimages

ベライゾン・ワイヤレス(Verizon Wireless)の株式売却で、ボーダフォン・グループ(Vodafone Group)に巨額の資金が転がり込む。それについて「携帯会社の合併統合は、これからも避けられない。それは伝送力とサービスの向上を目指す限り仕方ない」とスプリント(Sprint)のダン・ヘッセCEO(最高経営責任者)は、世界規模の携帯業界再編を予言している。その背景には「欧州通信市場の地盤沈下」が見逃せない。今回は、世界規模で始まると予想される携帯業界の合併・買収について考察してみよう。

ベライゾン・ワイヤレスを巡る衝撃のメガM&A

ヘッセCEOによる冒頭の発言は、ベルリンで開催された家電ショーIFA(イーファ)で、9月6日通信社ブルンバーグ(Bloomberg)の質問に答えた一節だ。スプリントといえば、今年7月216億ドルでソフトバンクが買収を完了した米携帯業界3位の会社だ。

日米の携帯3位同士による国際買収は、2兆円を超えるM&Aとして日本でも米国でも大きな話題となった。しかし、9月2日大手通信事業者ベライゾン・コミュニケーションズ(Verizon Communications)がボーダフォンとの間でまとめた1,300億ドル─約13兆円という桁違いのディールに、欧米の携帯業界は震撼させられた。

対象となったベライゾン・ワイヤレスは、米国の携帯業界でトップ。同社は1999年9月に、ベル・アトランティック・モバイル(Bell Atlantic Mobile)とエアータッチ・コミュニケーションズ(Airtouch Communications)が合併して生まれた。エアータッチの親会社はボーダフォン・グループであり、合併後もベライゾン・ワイヤレス株の45%はボーダフォンが所有した。

55%の株式を持つベライゾン・コミュニケーションズは、AT&T/アップル陣営に対抗しベライゾン・ワイヤレスを米国トップの携帯事業者に育て上げた。その主役は、現在ベライゾンのCEOを務めるローレル・マッカダム(Lowell McAdam)CEOだ。一方、ボーダフォンはサイレント・インベスターとして経営には一切口をはさまなかったが、株式に応じた巨額の配当金を手にしていた。

過去数回に渡って、ベライゾンはボーダフォンに株式買い取りの提案をおこなっていた。完全子会社化をしなければ、ベライゾンの狙う固定・携帯統合サービスが実現できないからだ。しかし、ボーダフォンは首を縦に振らず交渉は成立しなかった。

そうした中、ボーダフォンの業績低迷が表面化し、ベライゾンは再び株式買い取り交渉を積極的に進めていた。そして9月、ボーダフォンは13兆円という巨額で株式売却に応じ、ベライゾンは念願の完全子会社化を実現した。

日本では、簡単にニュースとして報道されたのみだが、この超大型M&Aの余波は大きい。つまり、13兆円という巨額の資金がボーダフォン・グループを通じて欧州に流入する。そうなれば「欧州通信市場の再編」が加速されるからだ。

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