ブルーバックス
『図解・プレートテクトニクス入門』
なぜ動くのか? 原理から学ぶ地球のからくり
木村 学・大木勇人=著

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よくわかるプレートテクトニクスの始まりから発展まで

プレートテクトニクスは、地球表面の岩石圏に見られる
さまざまな構造や変動を解き明かす科学。
地震はもちろん、火山ができるしくみから、
高い山ができるしくみ、深い海底ができるしくみまで、
地球のからくりが見えてくる。


序章

 地震のしくみだけでなく、プレートテクトニクスそのものをもっと知りたい──そう感じている読者のために本書は書かれています。

「プレート」という言葉は、巨大地震が起こるしくみを解説するキーワードとして、新聞・テレビのニュース解説、あるいは理科の教科書などで目にしていることと思います。そのときに示されるのは、次のような内容や模式図です。

*地球の表層は、硬い岩石の板がジグソーパズルのピースのように分かれて覆っており、その一つ一つをプレートとよぶ。

*日本は複数のプレートの境界に位置し、海洋プレートが日本列島の下に沈み込んでいる(図1)。

 

*沈み込む海洋プレートに引きずられて歪んだ日本列島側のプレートが、もとにもどろうとして跳ね上がると、巨大地震や津波が発生する(図2)。

 

 これらは、巨大地震のしくみを簡潔かつ明快に説明してくれています。しかしその一方で、いろいろな疑問も残っているのではないでしょうか。たとえば……

 プレートテクトニクスと大陸移動説は同じなのか?──大陸が移動するという大胆な説を科学的に実証しようとした初めての科学者は、よく知られているように、アルフレッド・ウェーゲナーです。しかし、彼はプレートテクトニクスの創設者というわけではありませんでした。

 プレートの下はどうなっているのか?──たいていの人は最初、「プレートの下はドロドロのマグマ」という誤解をします。地球の内部の岩石は、固体であるにもかかわらず、流動する性質をもっています。岩石はどのようにして流動するのでしょうか。

 プレートは硬いはずなのに図2のように曲がりながら地球内部へ沈み込んでいくというのは、おかしいのではないか?──岩石の硬さや流動性についてどう考えればよいか、またプレートが曲がるときに何が起こるのかについては、頭の整理が必要です。

 プレートはどのような力によって動くのか?──「マントル対流」という言葉を聞いたことのある人は、プレートの下のマントル対流に乗って動くと考えるでしょう。しかし、近年わかってきたマントル対流の姿は、プレートの運動とぴったり一致しているわけではありません。

 地球の表面を覆う「プレート」の運動によって地球上のさまざまな現象を解き明かす地球科学をプレートテク卜ニクスと言います。「テクトニクス」は、一般には「構造」を表しますが、地球科学では、「地質構造」やその変動である「地殻変動」を表します。プレートテクトニクスは、地球表面の岩石圏に見られるさまざまな構造や変動を解き明かす科学です。

 解き明かす現象は、地震はもちろん、火山ができるしくみ、高い山ができるしくみ、深い海底ができるしくみなど、広範です。プレートテタトニクスが学説として構築されたのは、1960年代のこと。その後、地球科学はさらに進歩し、1990年代から日本を中心とした研究で、地震波をもとにした地球内部の状態を表す画像の作成に成功し、マントル内の「プルーム」とよばれる熱い上昇流の姿や、日本列島の下に沈み込んだ「スラブ」とよばれるプレートの姿をとらえることが可能になりました。さらに、海洋底を数千m掘って岩石を採取できる日本の深海掘削船の活躍も始まっています。

 これからプレートテクトニクスの話を始めましょう。
 

著者 木村学(きむら・がく)
一九五〇年北海道夕張市生まれ。北海道大学大学院修了。理学博士。2008~2012年、公益社団法人日本地球惑星科学連合会長。現在、東京大学大学院教授、独立行政法人海洋研究開発機構招聘上席研究員兼任。著書に『地質学の自然観』『プレート収束帯のテクトニクス学』、共同編集として『付加体と巨大地震発生帯』(以上、東京大学出版会)などがある。



著者 大木勇人(おおき・はやと)
一九六四年鹿児島県生まれ東京育ち。千葉大学理学部物理学科卒後、塾講師二年、出版社で検定教科書の編集一〇年を経てフリーランスに。教科書編集のほか、共著に『図解・気象学入門』『発展コラム式中学理科の教科書』(共にブルーバックス)など、中学理科程度の知識を前提にした誰にでも読みやすい科学書づくりが得意。


 
『図解・プレートテクトニクス入門』
なぜ動くのか? 原理から学ぶ地球のからくり

木村 学・大木勇人=著

発行年月日:2013/09/20
ページ数:224
シリーズ通巻番号:B1834

定価(税込):903円
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(前書きおよび著者情報は初版刊行時点のものです)