「人事は冷酷に」を胸に読売渡邉会長との会食に臨んだ安倍首相

 「2020年夏季オリンピック東京開催」を掌中にして、アルゼンチンの首都ブエノスアイレスから9月9日夕、政府専用機で帰国した"凱旋将軍"安倍晋三首相が最初に会食したのは、読売新聞グループ本社の渡邉恒雄会長兼主筆だった---。
 帰国翌日の10日夜、東京・丸の内のパレスホテル東京の日本料理店「和田倉」であった。

 筆者の知る限りで言えば、渡邉氏は当夜も持論の「2015年10月に消費税率を10%に引き上げる」を繰り返し説いたものの、安倍首相はただ聞き置くに留まったという。
 安倍首相は渡邉氏に言質を与えなかったのだ。

来年4月に消費税率が8%になることは間違いない

 その翌日の『読売新聞』(12日付朝刊)は一面トップに「消費税 来年4月8%―首相、意向を固める―経済対策に5兆円」の大見出しを掲げ、安倍首相が、10月1日に日本銀行が発表する9月の企業短期経済観測調査(日銀短観)を受けて、既定通り13年4月に現行税率5%を8%に引き上げる方向で調整していると報じた。

 同日の『朝日新聞』と『毎日新聞』は夕刊でそれぞれ「経済対策5兆円超―消費増税2%分」「消費税 来年4月8%―安倍首相『環境整う』判断―経済対策5兆円規模検討」と、『読売』報道をフォローしたので、安倍首相が消費増税を同日の記者会見で発表するのは100%間違いない。

 14年4月の消費増税見送りという渡邉=読売の主張が退けられたのだ。

 8月26日から31日までの6日間、首相官邸で有識者60人からの消費増税の是非を巡るヒアリングが開かれた。その5日目に日本新聞協会会長の白石興二郎読売新聞グループ本社社長が、日本新聞協会の統一見解ではないと断った上で「読売は来春の増税を見送り、15年10月に10%にすべきだ」と発言した。

 同紙は31日付朝刊の社説で「消費税率『来春の3%』は見送るべきだ―デフレからの脱却を最優先に」と、前日の白石社長発言に倣った。

 本コラムで繰り返し言及してきたように、安倍首相は「6年前の安倍首相」とは別人格である。第1次政権を放り出した後、どん底にあって筆舌しがたい経験を経て総理・総裁に復権したのだ。その間、あらゆる政策に通暁すべく先達の書籍を読み、各界の人と会い、健康回復に努めた。

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