税とは政治そのものであり、政治とは結果責任である!
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2020年オリンピックの東京招致が決まり、メディアも世の中も五輪一色である。明るい話題は大歓迎であるし、これを東日本大震災の復興や景気回復に活かすべきであろう。特に、「五輪招致のために汚染水対策で嘘をついた」と言われないようにすべきである。

五輪決定は、アベノミクスの「第4の矢」として位置づけられ、デフレからの脱却に大いに役立つと考えられている。建設、スポーツ、観光産業などの株も上がり、それが消費の拡大につながれば、本格的な景気上昇につながる。

名ばかりとなりかねない「税と社会保障の一体改革」

安倍首相が、消費税を予定通り増税することを決めたとの報道である。具体的には、同時に5兆円規模の経済対策を行うという。これは、財務省と安倍ブレーンたちとの主張を足して2で割ったようなものである。

つまり、来春に8%にすべきだという見解と毎年1%ずつ上げていくべきだという意見のミックスである。消費税1%の増税で2.5兆円の増収であるから、5兆円というのは消費税2%分に当たる。したがって、実質は1%上げたことにしかならないというわけである。

財務省には、5兆円の財源はどうするのか、バラマキの効果はあるのかといった不満があるが、5兆円は単年度の話で、3%、7.5兆円増というのは、これからもずっと続いていく(再来年10月には、5%、12.5兆円)。

これは、確かに智恵を働かせた案ではあるが、問題もある。消費税増税の大義名分は、社会保障の充実ということであるが、この方式だと、3%分のうち社会保障に使われるのは1%のみで、あとの2%は公共事業中心のバラマキということになる。これで国民の理解が得られるのか。社会保障についての議論も十分には進んでおらず、これでは「税と社会保障の一体改革」が名ばかりということになってしまう。

橋本龍太郎元総理がお元気な頃、介護の問題などよく議論させてもらったが、今でも印象に残っている言葉がある。それは、「消費税というのは、打ち出の小槌のようなもので、税率を上げれば税収が増えるので、よほど注意しないといけない」という警告である。

スウェーデンのような北欧の福祉先進国では、25%、EUでは最低15%が消費税(付加価値税)の税率である。そのような数字を引用しながら、私が「日本でも10%は必要なのではないでしょうか」と問題提起したときの橋本さんの答えである。1%上げれば2.5兆円も歳入が増えるのだから、財務当局にとって、これほどありがたいことはない。橋本元首相の警告通り、安易に増税する誘惑にかられないように、「よほど注意しないといけない」のである。

税とは、政治そのものである。宰相たる者、増税賛成派、反対派の意見をよく聞いた上で、財務当局の虜にならないように、また根拠なきポピュリズムに迎合しないようにして、適確な判断を下さなければならないのである。

今回の消費税増税・経済対策の政策パッケージは、智恵を働かせたような案に見えるが、先に指摘したような問題を孕んでいることもまた忘れてはならない。政治は、結果責任であるし、両論を足して2で割ったような妥協案が、必ずしもよい結果をもたらすとはかぎらない。

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