佐藤優のインテリジェンス・レポート「東京オリンピック開催決定が今後の日本外交に与える影響」ほか

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【佐藤優直伝「インテリジェンスの教室」vol.020】
―第1部― インテリジェンスレポート
 ■分析メモ No.47「東京オリンピック開催決定が今後の日本外交に与える影響」
 ■分析メモ No.48「サンクトペテルブルグ日露首脳会談」
―第2部― 読書ノート
 ■読書ノート No.60『凶悪――ある死刑囚の告発』
 ■読書ノート No.61『ウラジーミル・プーチン――現実主義者の対中・対日戦略』
 ■読書ノート No.62『岩波 イスラーム辞典』
―第3部― 質疑応答
―第4部― 文化放送「くにまるジャパン」発言録
―第5部― 今後のラジオ出演、講演会などの日程

分析メモ No.47「東京オリンピック開催決定が今後の日本外交に与える影響」

【事実関係】
9月7日夜(日本時間8日朝)、アルゼンチンのブエノスアイレスで行われた国際オリンピック委員会総会で、2020年夏季オリンピックの開催地が東京に決まった。

【コメント】
2.―(1)
今回のオリンピック招致の過程で、東京電力福島第1原子力発電所からの汚染水漏れ問題が国際的に大きな関心を持たれるようになった。「東京は安全です」といくら繰り返しても、外国人は信用しない。また、「東京は福島から250kmも離れている」などという論拠で説得しようとすると、日本政府は「原発問題を地域問題に矮小化している。福島を切り捨てるつもりか」という誤解を招く。福島第1原発の汚染水を可及的速やかに封じ込め、その事実を広報することが、日本にとって重要な外交課題になった。

2.―(2)
今後、政府は、福島第1原発問題にもっと本腰を入れて取り組むことを余儀なくされる。福島第1原発は、もはや東京電力という一民間企業で対処できるような状態ではない。一刻も早く、福島第1原発を国の管理下に映すべきだ。

3.―(1)
オリンピック召致は日米同盟にも影響を与える。

3.―(2)
遅かれ早かれ、米国はシリアを一方的に攻撃する。シリアのアサド政権が化学兵器(サリン)を用いた以上、米国としてこれを看過することはできない。なぜなら、米国はアサド政権に対して「化学兵器の使用が超えてはならないレッドラインだ」という警告を事前にしていたからだ。米国のレッドラインを無視する政権を報知しておいては、米国の超大国としての地位が脅かされる。・・・以下メルマガでご覧ください

分析メモ No.48「サンクトペテルブルグ日露首脳会談」

【事実関係】
9月5日13時25分(現地時間、日本時間18時25分)から約40分間、安倍晋三首相は、G20サミット(20カ国・地域首脳会合)に出席するため訪問中のロシア・サンクトペテルブルクにおいて、プーチン・ロシア連邦大統領との間で首脳会談を行った。

【コメント】
1.
5日、ペスコフ露大統領報道官は、<安倍晋三首相とプーチン大統領が、北方領土問題について「引き分け」の精神で解決を図ることで一致したと述べた。/報道官は「引き分け」は柔道家のプーチン氏になじみの深い言葉と述べ、「勝ち負けのない」結果を示すと説明した。>(9月6日「共同通信」)。これだけでは、4月29日にモスクワで行われた日露首脳会談の内容を確認したにすぎない。北方領土交渉自体については、今回の首脳会談で、前進も後退もない。

2.―(1)
両首脳は11月1、2日に東京で両国の外務・防衛閣僚会合を行うことについて合意した。日露首脳会談の冒頭でのやりとりがクレムリン(露大統領府)の公式ウエブサイトに掲載されている(http://www.kremlin.ru/news/19157)。真理は細部に宿るので、ロシア語から全文を翻訳しておく。

<プーチン:総理、尊敬する友人の皆さん! サンクトペテルブルグにようこそと心から皆さまに歓迎の意を表明することをお許し下さい。私たちが継続的に接触し、その結果、貿易経済関係が発展していることを歓迎します。貿易量も、世界経済が様々な困難に直面している中で、毎年、成長しています。相互の投資量も増大しており、日本側からロシア経済にすでに100億(米ドル)を超える投資がなされています。様々な分野におけるわれわれの相互的な協力が深化しています。

われわれは、ロシアと日本の間に新たな協力形態を構築することを意図しています。あなたのイニシアティブで、今年11月初めに2人の閣僚が東京を訪問することになります。国防相と外相です。このような形態(引用者註*外相・防衛相の2+2会合)が、われわれの関係の発展に貢献し、われわれの信頼の水準を引き上げると確信しています。

安倍(翻訳のまま):あなたの故郷、美しい都市サンクトペテルブルグでわれわれが再び会うことができ、私はとても嬉しいです。今年4月にあなたの国を訪れてから、ロックアーンの会見(引用者註*6月に英国・北アイルランドで行われたG8サミット)から、これが首脳レベルでの3回目の会見になります。