千葉ロッテ・内野手井口資仁
「けっして熱くならない」それがオレのやり方

 心は熱く、頭は常にクールに—38歳、ベテランになった井口資仁がたどり着いた野球哲学だ。日本一3回、世界一2回。勝つことの難しさを知りつくした男は、どこまでもスマートだった。

田中マー君をどう打つのか

 記念すべき日米通算2000本安打は、東北楽天の、もとい日本のエースから奪った。

「今年一番のスイング。真っすぐでした」

 7月26日、Kスタ宮城。6回表、先頭打者として打席に入った千葉ロッテの井口資仁は楽天・田中将大の初球を叩いた。快音を発した打球はレフトスタンドに飛び込んだ。

 8月29日現在(以下同)、日本記録の22連勝中の田中とは、今季11打数4安打、打率3割6分4厘。堂々の"マー君キラー"である。

「いや、たまたまですよ」

 苦笑を浮かべて、井口は語り始めた。

「ランナーのいない時は打っているんですけど、(ランナーが)得点圏にいると、なかなか打たせてくれませんね。突然、ギアが入るんです。たとえコントロールミスをしても、絶対に長打にならないコースに投げてくる。

 それにスプリット(高速で落ちる変化球)がいい。去年くらいから完全にマスターしましたね。そしてスライダー。以前はスラーブのような(大きな)曲がりだったんですが、今はカットボール気味にギュッと滑る。曲がりが速いんです。

 メジャーリーグのピッチャーにたとえれば、いい時のジョシュ・ベケット(現ドジャース、'03年ワールドシリーズMVP、'07年20勝)でしょうか。どこにもスキが見当たらないといった感じですね」

 メジャーリーグのチャンピオンリングを2つも持つ男にここまで褒められれば、マー君も本望だろう。両雄の対決の行方はパ・リーグの優勝争いのカギを握っていると言っても過言ではあるまい。

 それくらい今季の井口のバッティングは素晴らしい。開幕から3番に座り、目下打率3割3厘、21本塁打、76打点。ホームラン数と打点はチームトップ、打率は今江敏晃に次いで2位だ。

 伊東勤監督の方針で今季、セカンドからファーストへコンバートされた。それが吉と出た。