会社を大きくすることに何か意味があるんですか? ---自由になったホリエモンが語る宇宙への思い
滝田誠一郎(ノンフィクション作家)

宇宙へ当たり前に行ける未来

2013年7月14日。堀江貴文(1972年10月生まれ)は『TEDxSapporo 2013』のステージに立っていた。"広げる価値のあるアイデアや物語"を発信し、分かち合うことを目的にした講演会で、総勢7人のスピーカーのトリとして登壇した堀江は、「堀江と申します。よろしくお願いします」と心なしか緊張気味に挨拶した後、『宇宙は当たり前にいける場所になる』という演題で18分間のスピーチを行った。

「ずっとロケットを作りたいと思っていた。宇宙が誰でも行けるような場所になればいいと思っていた」

「十数年前、ロシアでミュール(旧ソ連の宇宙ステーション)が売りに出された。もう廃棄するしかないので誰か買ってくれないかと。売値が20億円で、メンテナンスが毎年20億円かかる。ちょうどライブドア(正しくはオン・ザ・エッヂ)を上場するかどうかというタイミングで、20億円ならば手が届きそうな気がして宇宙が身近に感じられた」

「1960年代に月に行くために開発されたソユーズ宇宙船の一人あたりの打ち上げコストは70ミリオンドル。競争がないから安くならない」

「ぼくらはコストダウンがテーマ。ホームセンターでも売っている汎用部品で作れるような世界一ローテクなロケットを製造している」

「1回10万ドルで打ち上げる。1,000万円台。そういうとロケット関係者たちは"ウソだ!"というけれど、ロケットも工業製品だから大量生産すれば安くできると信じている。信じてやることが大事」

「鉱物資源開発を目的に他の惑星に出かけていく映画『アバター』のようなことをいずれは実現したい。実現できると完全に信じきっている」

堀江は少し早めにスピーチを切り上げ、ロケットエンジンの燃焼実験の失敗例ばかりを集めた動画を流し、最後に「必ず失敗のあとには成功がある。失敗したらやり直せばいい。みなさんも頑張ってください」と結んで拍手歓声の中ステージをあとにした。

 〔PHOTO〕太田亨

ちなみに、堀江とその仲間たち(なつのロケット団)はこれまでに北海道大樹町で計6回のロケット打ち上げ実験を行っている。2011年3月の「はるいちばん」を皮切りに、11年7月「なつまつり」、11年12月「ゆきあかり」、12年7月「いちご」、13年3月「ひなまつり」、13年8月「すずかぜ」の計6機を打ち上げ、今年3月29日、堀江の出所後2日目に打ち上げ実験が行われた「ひなまつり」こそ失敗に終わったが、それ以外の打ち上げ実験はすべて成功させている。

「ひなまつり」のリベンジとして8月10日に打ち上げられた「すずかぜ」(全長4322㎜、重量113㎏、推力500㎏f)は過去最高の到達高度6535mを記録した。到達高度の当面の目標は100㎞。それに成功すれば、小型衛星の受託打ち上げなどの宇宙ビジネスがいよいよ現実味を帯びてくる。そんな日を夢見て堀江は今年新たに宇宙開発会社インターステラテクノロジーズという会社を設立している。

「いつまでにその目標を達成するという計画は立てていない。計画を立てることに意味はない。明日達成できるんだったら明日にでも達成したいし、明日達成できないんだったら達成できるまで何度でも実験を繰り返す。そういうことですかね。早くに達成できるに越したことはないけど」

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