PRの発想で「マーケティング×戦略ストーリー」を描く

今日、9月10日(火)から、北海道のトマムで、空調の専業メーカーであるダイキン工業×チームラボの取り組み『雲プロジェクト』が、いよいよ本番を迎えます。私も、このプロジェクトに関わる一人として9日から現地に入りました。プロジェクト詳細は特設サイトをご覧ください。

http://kumoproject.jp/

「なぜ、エアコンメーカーが雲なの?」と思われることでしょう。

雲の名所 トマムにて(筆者撮影)

実は、雲って、『温度』『湿度』『気流』『清浄(ほこり等)』という空気の4大要素が組み合わさり、一定の条件が整ったときにはじめて発生する結晶のようなもの、なんだそうです。ダイキンの担当者は「空気のプロとしては、是非、雲プロジェクトを成功させて、ダイキンのユニークネスを主張したい」と鼻息を荒げています。

さらに解説しますと、ダイキンは、世界ナンバーワンの空調メーカーとして、エアコンや空気清浄機に関する基礎研究から商品開発まで、様々な研究を行っているわけです。ところが、空気の技術って、それこそ「空気を掴むような話」なので、なかなか上手く消費者に伝わらない。実際に、空気なので、実力差をなかなか可視化できないという悩みもある。

そんな中で企画された、ダイキン工業チームラボとのコラボによる今回のプロジェクトは、空気のプロの存在感を示す絶好の機会だということです。

企業が描く「物語」の可能性を考える

さて、少し話を一般化させることにしましょう。このプロジェクトは、企業(事業)の「取り組み」の実例ということになります。私は、こういう「取り組み」を積み重ねて、事業レベルで消費者や世の中に対して「物語」を描いていくことが必要なのでは? と感じています。しかも、そのストーリーは、ただ"面白い"だけではなく、事業の勝ち筋、マーケティング戦略を踏まえたものであるべきでしょう。

ストーリー(物語)というキーワードは決して目新しいものではありません。但し、広告やPRの制作現場で語られる「ストーリー」とは、多くの場合、プロモーション施策の中で展開されるお話を想定しています。広告でも、PRでも、店頭でも、その"局面""局面"に応じた「ストーリーづくり」ということになります。

例えば、テレビコマーシャルの場合、フィクションの中で、奇想天外な物語が展開されます。以前にも、このコラムで書きましたが、その広告の中で描かれるノンフィクションのストーリーが、最近は「長編化」「連続ドラマ化」しています。例えば、演技派俳優、役所広司のシリーズ広告として「ダイワハウス」や「ダイハツ」の新ムーヴの広告を実例にあげました。

物語の構造は変わらない。キャストも同じ、但し、商品の訴求ポイントや"くすぐり"(笑いのポイント)だけが毎回変わる。広告を連続ドラマのように憶えてもらい、クスッと笑ってもらって、結果的に、商品ブランドも記憶に残していく、好意をもってもらう・・・。単発ではなく、その広告を継続していること自体が企業の取り組みに見えるわけです。

一方で、そんな"お茶の間""テレビのコマーシャル"という枠組みから少し離れて、企業が描く「物語」の可能性を考えてみてはどうかというのが、私の提案です。

広告と違って、PR(広報)は企業活動を"事実"として世の中に伝える仕事です。新聞やテレビに取り上げられる事象は、企業の実際の活動ですよね。場合によっては、経営戦略や事業戦略に直接かかわることもあるでしょう。その意味では、PRマンは事業戦略に沿った、ノンフィクションの物語を描く機会に恵まれていると言えるかもしれません。

しかし、実際の企業広報は、「トップインタビュー」「事業戦略説明会」などといった仰々しい構えが多く、ユーザー、消費者の目線というよりも、経済部、記者クラブの目線を重視しがちです。

では、"戦略PR"はどうかというと、こちらは、お茶の間のニュースや季節の話題、生活課題を起点にしますから、基本的には、企業色を前面に押し出すことはありません。

冒頭に紹介したような企業の取り組みをベースに、PR発想(ノンフィクションの状況づくり)を活かしながら、事業に寄り添った、面白い! ユニークな物語をいかに描くことができるかというのが、もっぱらの私の問題意識です。それがPRかどうかは二の次として・・・。

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