フィンランドの「核廃棄物」最終処分場を見に行って 小泉元首相がいま思っていること

2013年09月10日(火) 週刊現代

週刊現代経済の死角

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 政治評論家の浅川博忠氏は二人の関係をこう語る。

「安倍首相の父・晋太郎さんが清和会の会長の頃から、小泉さんは派閥の会合などで尖った発言をし、物議を醸すことがありました。そんな時、晋太郎さんは小泉さんを個別に会長室に呼び、『こういう言い方をしたほうがいい』などと、親切に教え諭していたそうです。

 そのため小泉さんは自分が首相になった時、道半ばでこの世を去った晋太郎さんの恩義に報いる意味もあって、息子の安倍さんを引き立てていった」

 こんなエピソードもある。'95年に小泉氏が自民党総裁選に出馬表明したとき、30人必要だった推薦人が集まらず苦悩した。当時の自民党は、旧経世会(額賀派)の全盛期。逆風の中、新人だった安倍首相が推薦人に加わることで、小泉氏は橋本龍太郎元首相との対決に臨むことができた。

「小泉さんが退任する時、『次は福田(康夫元首相)で』という党内の声も根強かった。しかし小泉さんが、『いや安倍だ』と後任指名をしたため、'06年に第一次安倍政権が誕生したのです」(自民党ベテラン議員)

 互いに恩義があり、信頼もある。その小泉氏が、今このタイミングで安倍首相の耳に届くような形で、あえて原発問題に言及した背景には何があるのか。

「ある種のメッセージでしょう。福島第一の汚染水の問題に対し、中国・韓国だけでなく、欧米各国も日本政府の姿勢を批判し始めています。このままだと日本は外交的に窮地に陥る。今だからこそ脱原発を前面に打ち出すべきだ—小泉さんはそう言いたいのではないでしょうか」(浅川氏)

 安倍首相は高支持率に胡坐をかき、政権は増税や憲法改正問題などで、暴走の気配も見せつつある。小泉氏にしてみれば、愛弟子が自分を無視して独走していることに、立腹しているのだろう。

 だが今のところ、安倍首相が小泉氏のメッセージに反応した気配はない。福島第一の処理に、東京電力に代わって政府が乗り出すことを決めたが、原発政策の方向性は、相変わらず「推進」のままでいる。

 自民党幹部のベテラン議員も、苦虫を噛み潰したような表情でこう話す。

「小泉さんは政界を引退した人だからね。いくらでも気楽なことが言えるんだよ。日本のエネルギー事情を考えると、『原発ゼロ』なんて、とても無理だ」

 だが、福島第一原発の汚染水問題は、まさに危機的状況だ。福島第一では毎日400tの高濃度汚染水が発生しているが、これが敷地内から溢れ海へと流れ出ていたことが明らかになった。そうならないよう、今まで汲み上げた水は地上に設置されたタンクに保管してきたが、そのタンクもたった2年で老朽化してしまい、水が漏れだす事態となっている。

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