わかりやすい伝え方の法則
【第9回】 納得してもらえなければ、伝えたことにはならない

〔PHOTO〕Thinkstock by gettyimages

【第8回】はこちらをご覧ください。

伝え方の公式「テンプレップ」(第2回参照)に則れば、どんなことでも整理して正しく組み立てて伝えることができます。頭の中で常に「テンプレップ、テンプレップ」と繰り返すことが大切です。ですが、それだけでは「わかりやすい!」は完結しません。

第1回で説明した、「わかる」の3段階を振り返ってみましょう。人間が「わかった!」となるには、この3つの段階がすべて必要です。

①把握: 相手が言っていることを把握する
②納得: 相手が言っていることを納得する
③再現: 自分ひとりで思い出して、「こういうことだった」と再現する

テンプレップの法則や、「主語と述語を明確に」「5W1Hを思う浮かべる」などを身につければ、「把握」の段階はクリアーできます。でも、「わかりやすい!」はまだ完成しません。

相手から「あなたが言っていることはわかりました」と言われたとします。これはどういう意味でしょうか? 自分が伝えたい内容は相手に伝わったのでしょう。たしかに相手は内容を理解しているのかもしれません。

でも、まだ「納得」していない可能性があります。スキャンダルで逮捕された政治家が「私は、賄賂を受け取っていません」とだけ熱烈に主張しても、誰も「わかった」とはなりません。それだけでは納得できないからです。もちろん、言葉の意味はわかります。でも、納得はしませんね。

「言っていることがわかる」というのと「それが正しい、わかったと納得する」のは別モノなんですね。

今回は、この「納得」にフォーカスして解説していきます。相手に納得してもらうためにはどんなことを伝えなければいけないのか? 説得力を増すためには、どんな要素が必要なのか? それを考えていきます。

「論理的」とは、"モレなく、ダブリなく"ではない

相手に納得してもらうために不可欠なのが、「論理的に伝えること」です。非論理的な話に、ひとは納得してくれません。「彼は、今の仕事を続けることに不安を感じている。やはり彼は林業を始めるべきだ」と言われても、まったく納得できませんよね。なぜなら論理的じゃないからです。

同じように、「経営状態を改善させるために、御社は弊社製の会計ソフトを導入すべきです」と言われても「は? なんで??」となりますね。相手に納得してもらうには、論理的に伝えなければいけないのです。

ただ、「論理的に」と聞くと、なにやら難しいことのように感じます。「頭がよくないとできない」「自分にはムリ」などと考えてしまう人もいるかもしれません。でも本当はそんなことはないんです。

「ロジカルシンキング(論理的思考)」を思い起こす人もいるかもしれません。たとえば、コンサルティング会社のマッキンゼーが提唱している「MECE」です。これは、ある物事を検討するにあたって、「モレなく、ダブりなく」要素を挙げつくすための思考法です。これから類推して、何かを伝えるときには「あらゆる要素をモレなく、ダブりなく伝えなければならない」などと考えてしまう人もいます。

しかし、そんなことをしたら逆効果です。モレなく、ダブりなく伝えようとすると、むやみに細かい話になります。相手にとってはかえってわかりづらくなるだけです。

そもそも「論理的に伝える」とは、"モレなく、ダブリなく"とは違います。また、そんなに難しいことではないのです。

必要なのは、次の3つだけです。

・結論・要点(Point)
・なぜそう言えるか? という理由(Reason)
・なぜそう言えるかを補足する具体例(Example)

明確な結論と、それに納得してもらうための「理由」と「具体例(具体的で客観的な事実)」が、正しい順序で語られれば、それは「論理的な伝え方」になるのです。

たとえばこういうことです。

経営状態を改善させるために、御社は弊社製の会計ソフトを導入すべきです。(結論)

なぜなら、経営を改善させるための第一歩は、現状把握だからです。自社の会計状態を正確に、かつ迅速に把握することが経営判断を速めます。(理由)

現に、弊社の会計ソフトをご導入いただいた企業様100社のうち、83.7%の社長様が1年以内に経営状態が改善できたとおっしゃっています。(具体例)

いかがでしょうか? こう伝えられたら、「なるほど、ではうちでも検討してみるか」と感じませんか? これが論理的に伝えるということなのです。

ところで、この順番、どこかで見たことがありませんか? そうです、この連載で再三お伝えしている「テンプレップ」の一部です。これもテンプレップに組み込まれている方法なのです。

つまり、論理的に伝える方法をわざわざ別に覚える必要はなく、「テンプレップ」を使えば、それだけで論理的に伝えることができるようになるのです。

この続きは、プレミアム会員になるとご覧いただけます。
現代ビジネスプレミアム会員になれば、
過去の記事がすべて読み放題!
無料1ヶ月お試しキャンペーン実施中
すでに会員の方はこちら