ドイツ
無残に失敗した共産主義と新たに台頭するグローバリズムの驚くべき共通点---馬渕睦夫著『国難の正体』の戦慄
かつての共産党指導者たち(ベルリンのメイデイにて)〔PHOTO〕gettyimages

先日の参院選で、共産党が少し伸びた。その理由がよくわからない。共産党は由緒ある政党であるが、歴史的に見て、地球のほぼ全域で無残に失敗したことは間違いない。

投票した人は、ひょっとすると、近代世界史を知らないのだろうか。あるいは、日本共産党は、一応、共産党と名乗ってはいるものの、本来の共産党とは別物という解釈なのか? 日本共産党が共産党を名乗る理由もわからない。なぜ、あなた方は共産党員なのですか? と尋ねてみたくなる。

ソ連共産党死すとも、日本共産党死せず!

共産党の歴史は長い。1917年、ロシアでレーニンが長い闘争の末、権力を掌握し、18年にロシア共産党ができた。一党独裁はその後まもなく始まる。

ドイツの共産党も、その歴史は華々しい。思えば、19世紀に共産党の理論を作り上げたマルクスもエンゲルスも、ドイツ人だ。20世紀になって、ドイツの共産主義者たちはレーニンと大いに協力して、帝国主義と戦った。その結果、ドイツ共産党も18年の暮れに創立されたが、その立役者であったリープクネヒトやルクセンブルクは、翌月には反革命派のドイツ義勇軍に惨殺されている。

ドイツ義勇軍というのは、当時の社会民主党政権の支援を受けた民兵だ。つまりドイツでは、左翼同士が共闘できなかったわけで、これが後にヒトラーの台頭を許す大きな原因となったと言われている。

一方、日本共産党の創立は1922年。本家より、たったの5年しか後れをとっていない。これは凄い。しかし、激しい迫害や弾圧、そして、党内の仲間割れなどで混乱し、戦後、ようやく安定したものの、その後も、ソ連や中国の共産党とくっついたり離れたりし、70年にはルーマニアの独裁政権と懇意になったり、そうかと思うと、91年にソ連共産党が自滅したときには、「大国主義、覇権主義の歴史的巨悪の党の終焉を歓迎する」という声明を出したりと、常に混乱気味だった。

そもそも共産党の究極の目標は、「搾取と階級の廃止」だ。共産党が誕生した時代というのは、壮絶な搾取の横行する階級社会であったので、このアイデアが出てきたのはよくわかる。搾取で苦しむ人のいない、皆が平等で幸せな社会というのは、目標としては素晴らしい。理想的だ。

そこで共産党は、そのために生産手段を社会化しようとしたのだが、現実問題としては、うまくはいかなかった。うまくいかなかったどころか、共産党の支配する国々は、いつの間にか全体主義、独裁主義、あるいは、密告のはびこる恐怖社会へと変化していった。

そして、成立100年を待たずして、劇的に崩壊。今、残っているのは、北朝鮮、キューバなど、鼻息は荒いけど経済の破綻してしまった国々と、中国という、共産党の理念から大幅に外れた格差大国しかない。

先日、ある古参の自民党議員の、古参の右腕秘書の話を聞く機会があった。そのとき共産党のことについて尋ねてみたら、氏は、今の日本共産党は、元々の共産党とはまったく関係のない組織だと断言された。ただ、主張していることがぶれないので、それなりに評価しているとのこと(半分皮肉か?)。

そういえば、日本共産党は確かにぶれない。常に反米で、憲法改正反対で、天皇制もできれば解体しようとしている。ただ、私は、共産党公式ホームページの「日本共産党綱領」を見るまで、彼らがいまだに生産手段の社会化を目指しているとは知らなかった!

「日本の社会発展の次の段階では、資本主義を乗り越え、社会主義・共産主義の社会への前進をはかる社会主義的変革が、課題となる」、「社会主義的変革の中心は、主要な生産手段の所有・管理・運営を社会の手に移す生産手段の社会化である」と書いてある。ちょっとビックリ。親玉のソ連共産党死すとも、日本共産党死せず! なのだ。 

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