不正・事件・犯罪
450億円の大型詐欺・スピーシー事件は 首謀者らにも課税だけして幕引きでいいのか
[Photo] Bloomberg via Getty Images

 英国政府公認ブックメーカー(賭け業者)の賭けの倍率の違いに目をつけ、サヤ取りをすれば確実に儲かります---。
 こういう謳い文句で全国の投資家から巨額資金を集めたスピーシー事件が、大阪府警の捜査が遅々として進まない間に、2次被害を加速させている。すでにスピーシー絡みの被害金額は450億円に達している。

 また、投資家の募集において、会員(新規投資家)を連れてくれば配当金の比率を大きくするというマルチの手法を使っていることもあって、加害者が被害者になるという複雑な構造を持ち、仲間割れが生じて、問題が拡散している。

 例えば、三菱東京UFJの銀行員が、79歳の資産家女性を騙して4億円を詐取したという『週刊文春』(2013年8月29日号)のスクープ記事である。
「1ヵ月に3%の金利がつく」といって、三菱東京UFJの行員2人が、総額4億円も騙し取ったのは驚きだが、彼らが必死で集めたのは、キックバックを受け取るスピーシーの「マルチの無限連鎖」に連なっていたからで、その"上"にいるのは、2人の知人で文中「S」と書かれている人物だった。

あの大物総会屋との関連も取り沙汰されている

 また、事件はさらに広がりを持ち始めた。
 小池隆一といえば、旧第一勧銀と旧4大証券を巻き込んだ利益供与事件の主役で、大物総会屋として知られているが、会員制月刊誌の『ベルダ』(13年9月号)によれば、スピーシー関係者が主導するインドネシアの鉱山事業に絡んでコンサルタント契約を結んだのに、着手金さえ支払われてないとして、トラブルが生じているという。
「スピーシー投資詐欺と『小池隆一』」というタイトルで報じられており、サブタイトルに「伝説の総会屋も騙された!」とある。
 確かに、彼らは海千山千の総会屋を手玉に取るだけのテクニックを身に着けている。

 この事件の複雑さは、単なる投資詐欺ではないことだ。

「ブックメーカーへの投資」は、詐欺話のひとつ。スピーシーそのものは、昨年5月の段階で配当が停止、活動をストップしているものの、次に前述の資産家女性や小池氏を巻き込んだ「インドネシアの鉱山事業」を用意するなど、投資家の有り金をすべて巻き上げるまで放さない怖い構図になっている。

 では、首謀者は誰か。

 民事で集団訴訟を提起しているあおい法律事務所(東京都千代田区)は、大阪に本拠を置くスピーシー代表の田中慎、資金集めに関与した田中壱成、ネットで多くの会員を集めた田塩享寛(投資に関する著書が多く、ペンネームはチャーリー・タカ)、代理店群を率いたマルチ勧誘の中核にいる波田直樹の各氏の名を挙げている。

 だが、マルチの構造を持ち、しかも投資先は海外で、投資の材料はブックメーカー投資からさまざまに転化していることもあって、事件の全体像が良く見えない。

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