シリーズ「テレビがテレビではなくなる日」
【第1回】 放送と通信の融合「ハイブリッドキャスト」がバカにできない理由とは

「投資をするなら次はテレビだ」

メディア関連の取材現場で、去年あたりから投資家たちのこうした声を聞く機会が増えた。テレビを巡る最近の動きを見ていると、カネの匂いがするというのだ。

近年著しく進行している若者のテレビ離れに代表されるように、テレビは落日のメディアとして取り上げられることが多かった。

それなのに、一体なぜ?

本コラム「次世代メディアへの創造力」では、今回からシリーズでテレビを巡る変革の動きをリポートする。第一回は、世界各国で新規参入が相次ぐセカンドスクリーン市場の可能性について。

NHKが開発 商業ツールとしてのテレビとは

9月2日午前11時、NHKは次世代型放送サービス「NHK Hybridcast(ハイブリッドキャスト)」の提供を始めた。番組コンテンツを電波で、文字や画像情報はインターネットを使ってテレビ画面に表示する仕組みで、天気予報、ニュース、株価、スポーツの結果などの情報を簡単な操作で呼び出す事が出来る。

NHKの専用ホームページに掲載されたイメージ図をご覧頂くと分かるように、画面の下部に情報が半透明の図や文字で元の画面に被さるように表示される。

「オーバーレイ」と呼ばれる表示の仕方で番組画面そのものに情報を加える事が可能になった。さらに、今年秋からは、2(セカンド)スクリーンと呼ばれるスマートフォンやタブレット端末とリアルタイムで連動させる番組やサービスの開始が予定されており、今後の進展に注目する業界関係者も多い。

「オーバーレイ」のイメージ

思い起こせば、今からちょうど10年前の2003年12月。国内初の地上デジタル放送がスタートした。視聴者とテレビ局が双方向で結ばれ、「テレビは新時代に突入した」と期待を集めた。

目玉の新技術はデータ放送。テレビ放送と平行して電波を使った文字情報などの送受信が可能になり、青、赤、緑、黄のボタンがテレビのリモコンに加わった。ボタン操作によって視聴者は家庭にいながら放送局側とリアルタイムでコミュニケーションがとれるようになると言われたが、実際には、討論番組のアンケートやクイズの4択問題への回答に使われるなどに留まり、サービス開始からの10年間、目覚ましい進化もなく停滞していた。

twitterなど、ソーシャルネットワーキングサービスの登場でようやくデータ放送と連動させた番組が民放を中心に開発されるなど、ここ数年で「双方向コミュニケーション」にテレビ生き残りの可能性を見いだす動きが活発になってきた。

放送と通信の融合を本格的にシステム化したハイブリッドキャストの登場を喜ぶ業界関係者は多い。この分野で先行するアメリカをはじめ、イギリスやロシアなどでもNHKのハイブリッドキャストと同様のサービスを手がけるメディア企業が増えており「次の成長分野はテレビだ!」と公言する投資家も出てきている。ビジネスになると見込んだベンチャー企業の参入も目立ってきた。

金儲けの種はどこに潜んでいるのか---。

ハイブリッドキャストが今後どのように活用されていくのか、その青写真が説明されているNHKのホームページには、ビジネスとの結びつきがはっきりと書かれていてとても興味深い。

こちらのリンクを見てみて欲しい。→ http://www.nhk.or.jp/hybridcast/online/

「Hybridcastの将来」とタイトル付けされたコーナをみると動画が4つ並んでいる。 そのうち、Cookig(料理)での使い方では、料理番組で紹介された食材をそのままショッピングできると書いてある。さらに、Communicationとしての使い方の説明には、気になる番組やコマーシャルの商品情報を、家族や友人と手軽に「シェア」することができる、と書かれている。両方ともテレビと連動した手元のタブレット端末で操作するイメージだ。

つまり、ハイブリッドキャストを使うと、インターネットショッピングや広告媒体としてビジネスになりますよ! と提案しているのだ。

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