ブルーバックス
『単純な脳、複雑な「私」』
または、自分を使い回しながら進化した脳をめぐる4つの講義 池谷裕二=著

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「心」とはなにか?
最先端の脳科学を読み解くスリリングな講義

ベストセラー『進化しすぎた脳』待望の続編!
著者が母校で行った驚きとユーモアに満ちた連続講義。
私たちがふだん抱く「心」のイメージが
最新の研究によって次々と覆されていく──。
「一番思い入れがあって、一番好きな本」
と著者自らが語る知的興奮に満ちた一冊。


はじめに

 拙著『単純な脳、複雑な「私」』が、このたび装いも新たに講談社ブルーバックスシリーズに加わることになりました。

 高校で行った連続講義がそのまま「書籍」として実を結んだものが本書です。前作『進化しすぎた脳』でも同じスタイルを試みて、好評をいただいています。つまり本書は、その続編です。

 よく「続編は本編より質が落ちる」と言われます。この流布したジンクスを裏切ることが、続編講義の目標でした。

 結果として、単行本の「おわりに」のなかで、「今回のこの本は、私が出してきたすべての本の中で、いま一番思い入れがあって、そして、一番好きな本であることを、正直に告白したいと思います」と書いてしまうほどの本に仕上がりました。

 あれから4年が経ちました。その思いは現在でも変わっていません。だからこそ、伝統ある講談社ブルーバックスの一冊として、再び世に出ることは、私にとって代えがたい喜びです。

 新書化にあたり、何度も何度も原稿を読み返しました。新しい情報があれば積極的に追記しようと思ったからです。ところが再読すると、本書の内容は今でも最新のレベルですし、また、講義を貫くコンセプトも、数年で揺らぐような浅薄なものでないことを確信しました。

 不用意に書き換えれば、「講義スタイル」の売りである臨場感が失われかねません。書き換えは最低限にとどめました。たとえば、本文中で「半年前に」などという表記もそのまま残しています。これは講義を行った時点から「半年前」という意味になりますので、ご注意ください。

 また、本の流れが淀む可能性があると単行本では省略した講義の一部を、今回、巻末に付論として復活させることにしました。つまり、このブルーバックス版の『単純な脳、複雑な「私」』は、あのときの講義の完全復活版となります。