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新シリーズ「世界の知性」に聞く第1回
『銃・病原菌・鉄』の著者ジャレド・ダイアモンド「中国は日本には追いつけません」

「尖閣諸島問題は日中のプライドの問題」と喝破する〔PHOTO〕gettyimages

インタビュー/飯塚真紀子

 世界にその名を轟かすアメリカを代表する75歳の文明論者が、本誌のロング・インタビューに答えて、これからの日本のあり方を語り尽くした。「知の巨人」の目に映った日本の姿とは?

これをやれば経済は再生する

—アベノミクスで日本経済は復活すると思いますか?

ダイアモンド 日本経済の復活はこれからですが、少なくとも安倍首相が、日本経済の復活を看板政策に掲げているのは、正しい選択です。願わくば、今年や来年の利益ばかり見るのでなく、少なくとも10年先の日本経済を見越した、長期的視野に立った政策を取ってほしいです。

—日本経済の復活のために提言したいことはありますか?

ダイアモンド 結局、日本が決めることではありますが、私としては、日本は移民を受け入れるべきだという考えです。

 欧米社会も出生率低下の問題を抱えていますが、移民政策をとって海外の若者を自国に移民させ、労働力の減少に対処しています。若者が減れば、社会は停滞し、老人に支給する年金にも影響が出てきます。

—それでも日本人には、移民政策に拒否感がある人も多いです。

ダイアモンド それは、十分理解できます。アメリカはそもそも移民国家ですが、日本は1000年以上も日本人だけで暮らしてきたのですから。

 しかしいまこそ、大変革を起こすべきです。例えば、年間10万人の移民を毎年受け入れるとか、目的を決めて、隣の韓国から20万人のコンピュータ・プログラマーを受け入れるとかいった形です。

—そのような移民政策は、日本はこれまであまり取ったことがありません。

ダイアモンド それは、自給自足社会が、うまく機能していたからでしょう。日本は温暖な気候で、肥沃な土壌と豊富な降水量を誇り、高い農業生産性を保持してきました。

 例えば、日本は江戸時代の大部分をなす1640年頃から1855年頃まで、鎖国政策を貫いてきました。その間、鹿の皮などを、長崎の出島を通じて清国から輸入していたくらいです。

 こうした状況は、同じ島国でも、イギリスと大きく異なります。イギリスはもっと多くの食料品や物資をヨーロッパ大陸から輸入しないと、生活が成り立ちませんでした。

—このまま日本が移民を拒否し続けたら、どうなるでしょうか?

ダイアモンド それは日本の経済学者に聞いてみてください(笑)。十分な労働人口のない国が、経済を拡大できるはずがないでしょう。

 日本が本気で復活を目指すのなら、移民の受け入れという大変革を断行するしかないということです。

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