原発再稼働、シリア軍事介入、消費税増税・・・政府は国民を納得させられるだけの議論を展開すべきである!
シリアに対する軍事介入を断念した、イギリスのキャメロン首相 〔PHOTO〕gettyimages

猛暑と大雨の続く中、9月を迎えた。この異常気象は、やはり地球温暖化の影響なのであろうか。エネルギー政策は、まさに理想と現実とのバランス、様々な要請(コスト安、環境保全、安定供給、事故リスク低減など)の妥協の産物であるが、地球温暖化対策ということも忘れてはならない。

要は、政府がベストミックスだと考える案を、国民に説明することができるか否かということである。しかし、原発の再稼働にしても、最近は、その説明がきちんとなされていないようである。

シリア政府に対する軍事介入に慎重な各国政府

政府の説明責任ということでは、化学兵器を使ったとされるシリア政府に対する軍事介入についても同様である。2003年のイラク戦争のときには、米英などは、大量破壊兵器の存在を理由に開戦に踏み切ったが、後になって、その理由が事実ではなかったことが明らかになっている。今回は、そのときの教訓から、説明責任という点で、各国政府とも慎重に事を運ぼうとしている。

イギリス政府は、軍事行動に対する議会の同意を取り付けようとしたが、29日、下院は、この政府動議を"272対285"で否決した。これを受けて、キャメロン首相は、シリアに対する軍事介入を断念した。イギリス国民は、イラク戦争のときの苦い経験を忘れていなかったようだ。

イギリスは成文憲法を持たない国であるが、戦争の権限は政府にあり、それを議会の反対で覆されたとなると、憲法改正にも匹敵する大事件である。とくに、議院内閣制下でそのようなことが起こったというのは、特筆に値する。日本でもそうであるが、議院内閣制というのは、政府と与党が一致して政策を遂行することが原則であり、両者の見解が異なったままで採決に付されるというのは、例外的だからである。

その点では、アメリカやフランスのように、大統領制の国では(厳密に言うと、フランスには首相も存在しており、議院内閣制の要素もあるが、大統領制の色彩の方が強い)、戦争は政府が決めればよいことになっている。ところが、イギリス政府の決定もあり、また、オバマ大統領は、自らブッシュ政権のイラク戦争に反対した過去があるので、慎重な手法をとっている。

30日、アメリカ政府は、シリア政府の化学兵器攻撃によって、子ども426人を含む1429人が死亡したとの報告書を公表した。そして、シリアに対する限定的な攻撃を検討していることを明らかにした。しかし、オバマ大統領は、軍事介入については、議会での承認を求める方針を決めた。アメリカ議会は、9日から始まるが、化学兵器の使用は許さないという政府の立場は揺るがず、議会もこれを承認するとみられている。

日本政府もまた、イラク戦争開戦時の小泉内閣よりは、さらに慎重な対応を求められている。日米安保を基軸とする日本外交の原則と、原油の供給を海外に依存する立場をどのように調整していくのか、火薬庫シリア問題への対応は容易ではない。

中東の盟主、エジプトもまた混乱の極みであり、日本政府の中東外交の真価が問われている。安倍首相の中東歴訪が、どのような効果をもたらすのか。メディアは、オリンピック招致と石油外交に焦点を当てようとするが、中東情勢全体、そしてそれが影響を与える国際政治の力学にも注目すべきであろう。また、ロシア、中国との関係も、当然視点に入れなければならない。

もし、アメリカがシリアに軍事介入し、日本もそれに協力するときには、国会を開き、政府がきちんと説明し、国民を納得させるだけの議論を展開すべきである。

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