高橋洋一「ニュースの深層」
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元金融検査官から見た『半沢直樹』へのちょっと無粋な感想

2013年09月02日(月) 高橋 洋一
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堺雅人が主演するTBSドラマ『半沢直樹』の視聴率は絶好調だ。昨夜の第7話は金融検査というので、かつて金融検査官の経験がある筆者としては楽しんだ。
 
主演の堺雅人は好きな俳優だ。いつも微笑んでいるような独特の顔つきだが、ドラマではすごみも演じている。ネット上のプロフィールでは「高校時代、演劇部に所属。運動が得意ではないのと、顧問と先輩が威張っていないのが入部の決め手であった。当時は通産省で官僚になるのが夢だった。数学が苦手で国立大学はすべて落ち、早稲田大学第一文学部に入学」と書かれていた。そういえば、同じTBSの『官僚たちの夏』にも出演していた。

消費税増税の前に見るべき『武士の家計簿』

堺雅人は、2010年の映画『武士の家計簿』で、代々加賀藩の「御算用者」(ごさんようもの)であった猪山家八代目・直之を演じていた。御算用者とは藩の会計の専門家で、今でいえば県財政課職員。数学が苦手な人にはちょっときつい役柄であるかもしれないが、堺雅人はしっかり演じていた。
 
映画で、直之は、藩の帳簿から不正な米の横流しを見つけ、出世する。しかし、武家社会では出世するにつれ出費も増え続けたため、猪山家の家計が窮地に陥った。直之は、一家を立て直すために、家にある家財道具を処分することから手をつけた。当時の考え方では、家の資産を売却することは武士の恥とも思われたが、逆にそのことにより家の内外に危機を明らかにしてから再建を試みた。
 
地方武家と国家財政では話のスケールも違うが、この手法は大いに参考になる。ちなみに、財政再建に取り組んでいる英国では空母さえネットオークションに出されるという話もある。米国でも財政再建のときにはしばしば政府資産がオークションサイトで売却されている。一方、日本では政府資産の売却の話はなかなか出てこない。
 
財政危機だから消費税増税というが、この映画『武士の家計簿』をみても、それがいかにデタラメかがわかる。この点については、8月19日付けの本コラムをご覧いただきたい。

次ページ  ところで、ドラマ『半沢直樹』…
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