20年五輪の開催地決定の1カ月前に 内閣官房参与に任命されたロビイングの司令塔
[Photo] Getty Images

 平田竹男という名前に心当たりがあるだろうか?
 熱烈なサッカーファンであれば、知っている方もいるかもしれない---。

 早稲田大学大学院スポーツ科学研究科の教授である。かつてその行動力と人脈突破力では旧通産省でナンバーワンと言われた同省OB(1982年入省)。霞が関ではちょっとした有名人でもあった。

 省内キャリアをお浚いする。87年6月から1年間ハーバード大学ケネディスクール(行政大学院)に留学、行政修士を取得。その後、通商政策局経済協力課資金協力室長、資源エネルギー庁石油部開発課長、同庁資源燃料部石油・天然ガス課長を歴任し、02年に退官した。

 同氏は産業政策局サービス産業室総括班長時代の89年、サッカープロリーグ化検討委員会の準備過程で、川淵三郎前Jリーグチェアマンと知り合い、93年のJリーグ発足に関与した。退官後、日本サッカー協会専務理事に就任、現役官僚の転進が話題となった。
 それだけではない。同年の日韓ワールドカップ共同招致の仕掛け人でもあったのだ。

桑田真澄も平井伯昌も佐藤直子も教え子

 同氏の"守備範囲"はサッカーだけでなく、陸上競技、プロテニス、競輪、卓球、レスリングの国際社会にも及ぶ。早稲田大学の教え子には、日本プロテニス協会の佐藤直子理事長、元読売ジャイアンツの桑田真澄、水泳指導者の平井伯昌、元卓球選手の松下浩二ヤマト卓球社長などがいる。

 現在、早稲田大学で教える傍ら、日本陸上競技連盟監事、日本プロテニス協会常務理事、日本スポーツ産業学会理事長、東京マラソン財団理事の職も兼ねる。その平田教授が、8月8日付で内閣官房参与に任命されたのだ。
 筆者は、その時点でこの人事の持つ意味を理解していなかった。

 どのような意味を持つのか?

 実は、平田教授が2020年夏季オリンピック東京招致のための裏面でのロビイングの司令塔なのだ。
 平田氏は8月27日、財務省を訪れ、旧知の香川俊介主計局長(79年旧大蔵省)や佐藤慎一官房長(80年)、浅川雅嗣官房総括審議官(81年)と面談、「明日からブエノスアイレスに行ってきます」と報告したのだった。

 周知の通り、20年五輪の開催地は、9月7日(日本時間8日未明)、アルゼンチンの首都ブエノスアイレスで開催される国際オリンピック委員会(IOC)総会で98人のIOC委員の秘密投票によって決定される。
 東京とマドリード(スペイン)が大接戦を演じており、イスタンブール(トルコ)の可能性は殆どない、というのが支配的な見方である。

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